2023年1月号|特集 Japanese R&B

【Part3】00年代|DIVAの時代|Japanese R&Bヒストリー

会員限定

解説

2023.1.20

文/矢野利裕


本格派としての“ディーヴァ”


 2000年代、かねてから熱気が高まりつつあった日本のR&Bは、MISIAと宇多田ヒカルの登場によって一気に隆盛する。とくに女性R&Bに注目が集まり、この時期のJポップは“ディーヴァ”(=歌姫)ブームといった様相を呈することになる。思いつくままに挙げても、SILVA、MINMI、クリスタル・ケイ、BENNIE K、SOULHEAD、Heartsdales、Tyler、Tina、倉木麻衣、AIなど、この時期には多くの女性R&Bアーティストが登場し、それぞれ“ディーヴァ”として存在感を示した。
 もっともそれは、悪い言いかたをすれば、多くの女性アーティストがR&Bアーティストとして売り出されたことを意味する。実際、本サイト同特集の「座談会:編集者が語るあの頃のJapanese R&Bシーン(Part.2)」では、「『R&Bシンガーとして売り出したい』ってことで、ディレクターが直接来るようになるとか」(星出智敬)「各社で『R&Bをやらなきゃダメだ』みたいな感じになっていましたよね。形から入ってくる人達がたくさん出てきたのも事実で」(荒野政寿)と、当時のことが振り返られている。また、“ディーヴァ”という言葉がコピーとして確立して以後は、元ちとせや一青窈、あるいは浜崎あゆみなど必ずしもR&B的ではないアーティストも“ディーヴァ”に数えられることがあった。そのような雰囲気は例えば、ジャンルも音楽性も異なる女性アーティストたちを縦横に評した、松本亀吉『歌姫2021』といった著書に戯画的なかたちで見ることができる(同書には「MISIA以降ウジャウジャわいて出てきた、いわゆる「ディーヴァ系」のR&B歌手」という記述がある)。



●今こそ聴きたい90/00年代日本のR&Bの名曲が2枚のディスクに集結! 90年代のUSやUKのR&Bに影響を受けて生まれた日本のR&B。勃興期から隆盛期にあたる1990年代後半~2000年代の代表曲や隠れた名曲を新進気鋭の批評家/DJである矢野利裕が今の視点でコンパイルした2023年のリスナーに向けたJ-R&Bの決定版となるコンピレーション!

ALDELIGHT J-R&B
-A NEW STANDARD FOR JAPANESE R&B 1996-2010-

2023年1月25日発売
CD2枚組/¥3,520(税込)


[Disc-1]
01. My Life/JUJU
02. 空 -Tomita Lab. remix-/SOULHEAD
03. 風と共にながれて/井出麻理子
04. 恋がしたかった/市井由理
05. Anytime/Crystal Kay
06. I Wanna Know/Sowelu
07. 心にしまいましょう/古内東子
08. The Race of Love/PUSHIM
09. REALIZE feat.SUIKEN + DEV LARGE/bird
10. Secrets/伊藤由奈
11. a tomorrowsong/Skoop On Somebody
12. Angel eyes/SAKURA
13. 恋はリズム~Believe My Way~/福原美穂
14. 楽園/平井 堅

[Disc-2]
01. Ride On Time/露崎春女
02. people in the World/AI
03. DESTINATION(D.O.I. Hip Hop Mix)feat.TARO SOUL/May J.
04. sad to say( BUZZER BEATS Remix)/JASMINE
05. Your Love feat. KREVA/三浦大知
06. my book/葛谷葉子
07. 12時間/SHOWLEE
08. BOMBER/森 広隆
09. Long Long Way(韻シストMIX)/CHEMISTRY
10. Sauce/Sugar Soul
11. 疑惑/椎名純平
12. 悲しいわがまま/wyolica
13. 対話 feat. Momoe Shimano a.k.a. MOE'T/リブロ
14. 悦びに咲く花/ACO