2022年12月号|特集 平成J-POP

<DISC-1❷>「TRUE LOVE」|『クライマックスうるうる平成J-POP』<平成生まれライター>全曲解説

レビュー

2022.12.1


「TRUE LOVE」
藤井フミヤ

1993年(平成5年)11月10日発売
作詞・作曲:藤井フミヤ

そこはかとない喪失感に自己陶酔したバラード

ポップ・パンクばかり聴いている軽音部の友人に、「速い曲よりもバラードが好き」と伝えたら、は? マジ? と言われたが、つまりはこういう曲が好きだったのだ。チェッカーズも『あすなろ白書』も知らなかった私だが、90年代の名曲特集で知ったこの曲には、すぐに惹かれるものを感じていた。物寂しいアコースティック・ギターの音色と、いささか自己陶酔を感じる“なよっとした雰囲気”が気に入ったんだろう。無論、“真実の恋”など知らないわけだが、そっと撫でるように歌われる“僕らはいつもはるかはるか遠い未来を夢見ていたはずさ”というラインには、そこはかとない喪失感を抱いていた。なお、本曲はバンド解散後初のシングルであり、キャリア初の作曲であり、堂々のミリオンセラー。

文/黒田隆太朗(平成元年生まれ)|ライター

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