連載|私が欲しいレコード

第27回【半田健人】 俳優・歌手

2022.10.24

第27回【半田健人】 俳優・歌手

60年代後半という時代は僕の世代からすると本当に興味深い時代なんです。大昔ってわけじゃないのに結構常識が今とは違う。特に音楽は最高に面白いです。



「私が欲しいレコード」ということで、せっかくですから絶対‘あり得ない’ものを欲しがってみたいと思います。『ピンキー・チックス』のLPにしましょう! これは存在しないアイテムになります。
 ピンキー・チックスとは60年代後半のグループサウンズブームに便乗して登場した女性版グループサウンズとでもいいましょうか、元々ダンスグループだったものにテコ入れ(バンド形態化)をして日本ビクターから「ヨッパラッタお嬢さん」でデビューしました。ところがそもそもグループサウンズのファン層は95%が女性だったためにターゲット層の読み間違いで大ゴケ…! 更にはアイドル的なフレッシュさにも欠けており(妙なベテラン感)男性からもイマイチな評判…。
 以上の結果からピンキー・チックスはLPを出さず仕舞いでその活動を終えました。ところが僕はそんなピンキー・チックスが大好きであります! 敗因と言えば敗因の生々しいお色気もむしろそこがグーです。若さに任せただけの露出とは違い「私たち訳あってこんな格好をしておりますの、オホホ…」的なバックボーンに興奮します。
 LP化が難しいもうひとつの理由は楽曲の少なさです。シングルで3枚ですから各B面を入れても僅か6曲。これではLPの片面しか埋まりません…。う~ん困った。ならば奥の手を使いましょう。ピンキー・チックス解散後、メインボーカルをつとめていた糸乗美和さん(僕の推しメン!)が「いとのりかずこ」と改名しソロデビューを果たしています。キングレコードから数枚のシングルとLP、その後CBS・ソニーからも出しました。このソロ期の音源をB面にコーディネイトして『ピンキー・チックス/いとのりかずこの世界』と題したLPを作りたい!
 ですが現実問題としてレコード会社を跨ぎすぎているため(ピンキー期で3社、ソロ期で2社)一枚にまとめるのはかなり難しいでしょう。そして何より深刻なのが需要が見込めないということ(笑)。半世紀たった今もきっと不人気には変わりはないでしょう。でもそこがまた良いんだな! 不人気上等! ピンキー・チックスはルックスも実力も決して低くないと思うんです。変にグループサウンズやアングラ売りにしたからちぐはぐになってしまっただけで、ちょっと違えばレ・ガールズの対抗馬くらいにはなれたんじゃないでしょうか(ファンの贔屓目)。
 60年代後半という時代は僕の世代からすると本当に興味深い時代なんです。大昔ってわけじゃないのに結構常識が今とは違う。特に音楽は最高に面白いです。機材の過渡期なので不安定なんですよ、色々(笑)。これでいいのか?っていうようなミックスでTDされていたり…。でも不思議と、録音したスタジオの様子や人の機嫌なんてものが今の音楽より伝わってきます。もちろんそれは想像に過ぎないのですが、想像力を掻き立てる音楽って凄いじゃないですか。そう、大切なのは何事も生々しさです。ピンキー・チックスLP完成の折には六折の特大ポスターを同封します。モノ凄く生々しいやつを…。



半田健人(はんだけんと)

1984年、兵庫県出身。
2001年、男性ファッション誌『ジュノンボーイ・コンテスト』を経て芸能界入り。
2003年『仮面ライダー555(ファイズ)』にて主演。
昭和歌謡への造詣が深く、テレビやイベントへ多数出演するとともに、自ら歌手としてもカバーやオマージュ作品を数多く発表している。
2022年11月11日、野口五郎さんへのオマージュ作品である新曲(タイトル未定)をダウンロード限定リリース予定。

■半田健人公式ホームページ 健人の部屋
https://handakento.com/


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