2022年9月号|特集 再生!アナログレコード
【Part4】アーティスト/亀田誠治[後編]|GREAT TRACKS スペシャル~滝瀬茂のアナログ盤談義
インタビュー
2022.9.22
インタビュー・文/小野島大
豊かな音質と確かな音圧にこだわった、ソニーミュージックのアナログ・レコード専門レーベル「GREAT TRACKS」。究極のアナログの響きとして理想を掲げる「80年代輸入盤レコードの音」を目指して、数々のレコードを送り出してきたプロデューサーの滝瀬茂が、アナログ・レコードについて語り合う対談シリーズ。第3回は90年代より数々のJポップ・アーティストの名作を手がけてきた亀田誠治と共にアナログ・レコードを語り合う。その後編をお届けする。
(【前編】からの続き)
1997年にわずか47歳の若さで亡くなった音楽家・大村雅朗が編曲家として手がけた数々の作品から厳選したコンピレーション『大村雅朗の奇跡~Compiled by 佐橋佳幸 & 亀田誠治~』が、2枚組アナログ・レコードでリリース。
選曲を担当したのはギタリスト/プロデューサーで、渡辺美里の仕事で大村とも深い付き合いのあった佐橋佳幸と、大村に深い影響を受けプロデュースの仕事を志したという音楽家・亀田誠治である。
それを記念して、亀田と、ソニーミュージックのアナログ・レコード専門レーベル「GREAT TRACKS」のプロデューサーであり、80年代のMIDIレコードのエンジニアとして数々の名盤を手がけた滝瀬茂の対談が実現した。亀田の大村雅朗への熱い想いと、MIDIレコードへの深い敬意、滝瀬のアナログ・レコードへの強いこだわり。話題は多岐にわたった。
来たる9月23、24日には、大村の地元である福岡県福岡市キャナルシティにて、“大村雅朗 25th メモリアルライブ”が開催される。亀田は佐橋と共に音楽監督を務める予定だ。
アナログ盤に針を落として聴いていた感じがまず蘇る(亀田)
──滝瀬さんは佐野元春さんとお仕事をなさっていましたけども、佐野さんから大村さんのお話をお聞きになったことは?
滝瀬茂 いや、あまり。僕が担当した時にはご自身で音を作っていたので、デビュー当初のことはあまり聞いたことがなかった。今は80年代の音を振り返ることもありますけど、あの頃って、先のことしか考えていなかったんですよ。楽器や録音機材もどんどん新しくなっていたし、佐野さんと仕事していた時もこの先は何が起こるんだ、次は何をやるんだっていう、先のことしか見ていないので。それは佐野さんも同じだったと思う。
Various Artists『大村雅朗の奇跡~Compiled by 佐橋佳幸 & 亀田誠治~』
2022年9月21日発売
Disc1(Compiled by 佐橋佳幸)
Side-A
01. 明日のジョーは帰らない/大塚博堂
02. SACHIKO/ばんばひろふみ
03. レット・ミー・フライ/石川優子
04. 情けない週末/佐野元春
05. 晴れのちBLUE BOY/沢田研二
Side-B
01. みずいろの雨/八神純子
02. 君はクロール/渡辺美里
03. GLORY DAYS/大江千里
04. COME ON IN/鈴木雅之&PAUL YOUNG
05. 櫻の園/松田聖子
Disc2(Compiled by 亀田誠治)
Side-A
01. そして僕は途方に暮れる/大沢誉志幸
02. メイン・テーマ/薬師丸ひろ子
03. 贅沢なペイン/大江千里
04. 雛菊の地平線/松田聖子
05. 言いだせないまま/渡辺美里
Side-B
01. SOMEDAY/佐野元春
02. 悲しみのアクトレス/下成佐登子
03. きみの朝/岸田智史
04. 早春物語/原田知世
05. You Gotta Chance~ダンスで夏を抱きしめて~/吉川晃司
大村雅朗 25th Memorial Super Live
福岡キャナルシティ劇場
2022年9月23日(金・祝)、24日(土)
【音楽監督】
佐橋佳幸(Gt) / 亀田誠治(Ba)
【GUEST ARTIST】
9月23日:ばんばひろふみ / 八神純子 / 渡辺美里 / 中川翔子
9月24日:大澤誉志幸 / 南佳考 / 槇原敬之 / 川崎鷹也
【GUEST DJ】砂原良徳
【TALK GUEST】松本隆 / 木﨑賢治
【SPECIAL BAND】山木秀夫(Dr) / 今剛(Gt) / 石川鉄尾(Mp) / 斎藤有太(Key) / 山本拓夫(Sax)
特設サイト:https://ohmuramasaaki-25th.srptokyo.com/
亀田誠治(かめだ・せいじ)
ベーシスト/プロデューサー/アレンジャー1964年生まれ 音楽プロデューサー・ベーシスト。これまでに椎名林檎、平井堅、スピッツ、GLAY、いきものがかり、JUJU、石川さゆり、ミッキー吉野、back number、Creepy Nuts、アイナ・ジ・エンド、[Alexandros]、FANTASTICS from EXILE TRIBEなど、数多くのアーティストのプロデュース、アレンジを手がける。
2004年に椎名林檎らと東京事変を結成。
2007年と2015年の日本レコード大賞にて編曲賞を受賞。2021年には映画「糸」にて日本アカデミー賞優秀音楽賞を受賞。同年、森雪之丞氏が手がけたロック・オペラ「ザ・パンデモニアム・ロック・ショー」では舞台音楽を、2022年夏には、ブロードウェイミュージカル「ジャニス」の総合プロデューサーを担当した。
また、松本隆作詞家生活50周年を記念した「風街に連れてって!」を制作総指揮、続いてゴダイゴのミッキー吉野の最新アルバム「Keep On Kickin’ It」をプロデュースし、J-POPを長きに渡り支えてきたレジェンドアーティストを次世代に伝える活動も精力的に行なっている。
近年では、J-POPの魅力を説く音楽教養番組「亀田音楽専門学校(Eテレ)」シリーズが大きな話題を呼んだ。
2019年より開催している、親子孫3世代がジャンルを超えて音楽体験ができるフリーイベント「日比谷音楽祭」の実行委員長を務めるなど、様々な形で音楽の素晴らしさを伝えている。
https://www.makotoyaweb.com/
滝瀬茂(たきせ・しげる)
「GREAT TRACKS」プロデューサー1980年音響ハウス入社。数々のレコーディングにアシスタント・エンジニアとして参加し、’85年MIDIレコードへ転職、坂本龍一、矢野顕子、大貫妙子、EPO他のレコーディングエンジニアとして活躍。EPICソニーに転職後、佐野元春の制作ディレクターとして手腕を発揮、ソニー・ミュージックダイレクト在職中にアナログ盤専門レーベル「GREAT TRACKS」を設立。
GREAT TRACKS オフィシャルサイト
GREAT TRACKS Order Made Vinyl オフィシャルサイト
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