2022年7月号|特集 真夏のシティポップ!

【Part4】夏に恋する女たち~栗本斉が語るシティポップ・レディーの魅力 第4回:松田聖子

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インタビュー

2022.7.20

インタビュー・文/大谷隆之


どんなサウンドに挑戦しても、アイドル・ポップスに落とし込む強さ


【Part3】からの続き)

夏といえばシティポップ! そして麗しき歌声を聴かせるシティポップ・レディーたちを忘れるわけにはいかない。ここでは「夏に恋する女たち」と題し、6人の女性アーティストについて分析。語るのは『「シティポップの基本」がこの100枚でわかる!』の著者であり、「otonano」編集部の栗本斉。第4回目はアイドル・ポップスの最高峰、松田聖子。

──松田聖子と言えば、文字通り“80年代アイドル”を象徴する歌い手。ただ、一般的に「シティポップ」として評価されることが少ない。栗本さんは著書で、その見方にはっきり異議を唱えていました。

栗本斉 そうなんです。彼女はこれまで、シティポップ的な観点ではほとんど語られてこなかった。おそらくアイドルとしての知名度と存在感があまりにも突出していて、メジャー感がありすぎるんでしょうね。膨大なヒット曲すべて引っくるめて、“聖子ちゃん”という独立ジャンルになっていると言ってもいい。でも、そういった先入観を捨ててじっくり音楽に耳を澄ますと、大きく印象が変わると思います。特に松本隆が作詞を全面的に手がけるようになって以降は、アイドル・ソングの条件はしっかり備えつつ、ポップ・ミュージックとしての完成度がめちゃくちゃ高い。


栗本斉(くりもと・ひとし)

●音楽と旅のライター、選曲家。1970年生まれ、大阪出身。レコード会社勤務時代より音楽ライターとして執筆活動を開始。退社後は2年間中南米を放浪し、帰国後はフリーランスで雑誌やウェブでの執筆、ラジオや機内放送の構成選曲などを行う。開業直後のビルボードライブで約5年間ブッキングマネージャーを務めた後、再びフリーランスで活動。2022年4月創刊のソニーミュージック運営のウェブマガジン「otonano」の編集を務める。著書に『ブエノスアイレス 雑貨と文化の旅手帖』(マイナビ)、『アルゼンチン音楽手帖』(DU BOOKS)、共著『Light Mellow 和モノ Special』(ラトルズ)他多数。最新著書『「シティポップの基本」がこの100枚でわかる!』(星海社新書)が重版を重ね好評発売中。監修に携わったレコードジャケットを展示する「ART in MUSIC シティポップ・グラフィックス」が'22年7月16日より8月14日まで開催。


「ART in MUSIC シティポップ・グラフィックス」
会期:2022年7月16日(土)~2022年8月14日(日)
会場:BAG-Brillia Art Gallery(東京都中央区京橋3丁目6-18 東京建物京橋ビル)
開館時間:11:00~19:00 (休館日:月曜日)※祝日の7/18(月)は開館(翌日振替休)
料金:無料
https://www.brillia-art.com/bag/exhibition/06.html