2022年7月号|特集 真夏のシティポップ!

【Part3】夏に恋する女たち~栗本斉が語るシティポップ・レディーの魅力 第3回:杏里

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インタビュー

2022.7.11

インタビュー・文/大谷隆之


時代の空気をしっかり映しつつ、歌もサウンドもまったく色褪せない


【Part2】からの続き)

夏といえばシティポップ!そして麗しき歌声を聴かせるシティポップ・レディーたちを忘れるわけにはいかない。ここでは「夏に恋する女たち」と題し、6人の女性アーティストについて分析。語るのは『「シティポップの基本」がこの100枚でわかる!』の著者であり、「otonano」編集部の栗本斉。第3回目は永遠のサマー・レディー、杏里。

──夏と言えば杏里、杏里と言えば夏。「シティポップ」系のアーティストの中でも、特にそんなイメージが強い人です。

栗本斉 そうですね。彼女は’78年、高校在学中に「オリビアを聴きながら」でデビューしました。その後の数年間は今一つ路線が定まらなくて試行錯誤した印象もありますが、80年代初頭には完全に“サマー・レディー”のイメージを確立した。’83年12月リリースの6作目のアルバム『Timely!!』以降は、アルバムをすべてチャートのベストテン内に送り込んでいます。実際、この時期の作品は今聴き直してもめちゃくちゃクオリティーが高い。著書の中にも書きましたが、80年代の杏里ほど“シティポップの女王”という称号が似合うアーティストは他にいません。僕自身も、なぜか鮮烈に覚えている風景があって。


栗本斉(くりもと・ひとし)

●音楽と旅のライター、選曲家。1970年生まれ、大阪出身。レコード会社勤務時代より音楽ライターとして執筆活動を開始。退社後は2年間中南米を放浪し、帰国後はフリーランスで雑誌やウェブでの執筆、ラジオや機内放送の構成選曲などを行う。開業直後のビルボードライブで約5年間ブッキングマネージャーを務めた後、再びフリーランスで活動。2022年4月創刊のソニーミュージック運営のウェブマガジン「otonano」の編集を務める。著書に『ブエノスアイレス 雑貨と文化の旅手帖』(マイナビ)、『アルゼンチン音楽手帖』(DU BOOKS)、共著『Light Mellow 和モノ Special』(ラトルズ)他多数。最新著書『「シティポップの基本」がこの100枚でわかる!』(星海社新書)が重版を重ね好評発売中。監修に携わったレコードジャケットを展示する「ART in MUSIC シティポップ・グラフィックス」が'22年7月16日より8月14日まで開催。


「ART in MUSIC シティポップ・グラフィックス」
会期:2022年7月16日(土)~2022年8月14日(日)
会場:BAG-Brillia Art Gallery(東京都中央区京橋3丁目6-18 東京建物京橋ビル)
開館時間:11:00~19:00 (休館日:月曜日)※祝日の7/18(月)は開館(翌日振替休)
料金:無料
https://www.brillia-art.com/bag/exhibition/06.html