2022年7月号|特集 真夏のシティポップ!

【Part2】夏に恋する女たち~栗本斉が語るシティポップ・レディーの魅力 第2回:松任谷由実

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インタビュー

2022.7.6

インタビュー・文/大谷隆之


何気ない風景描写に淡い感情を仮託する作家的スキルの凄さ


【Part1】からの続き)

夏といえばシティポップ! そして麗しき歌声を聴かせるシティポップ・レディーたちを忘れるわけにはいかない。ここでは「夏に恋する女たち」と題し、6人の女性アーティストについて分析。語るのは『「シティポップの基本」がこの100枚でわかる!』の著者であり、「otonano」編集部の栗本斉。第2回目はシティポップの女王、ユーミンこと松任谷由実。

──「夏に恋する女たち」の第2回はユーミンこと松任谷由実。栗本さんの、著書『「シティポップの基本」がこの100枚でわかる!』では、「シュガー・ベイブが音楽シーンに静かな影響を与えた通奏低音だとしたら、ユーミンは声高らかにその幕開けを宣言した存在」と記されています。

栗本斉 キャリアも長く、しかも多面的な才能の持ち主ですから、きっとリスナーの数だけ違ったユーミン像があるはず。日本の音楽シーンにおいては、それくらい巨大な存在ですよね。もはや説明不要かもしれないですが、彼女は’73年、18歳のときにファースト・アルバム『ひこうき雲』を発表しています。これとセカンドの『MISSLIM』(1974年)はいわば記念碑的名盤で、僕も大好きですが、楽曲がシティポップ的な色彩を帯び始めるのは3枚目の『COBALT HOUR』(1975年)からじゃないかと思います。


栗本斉(くりもと・ひとし)

●音楽と旅のライター、選曲家。1970年生まれ、大阪出身。レコード会社勤務時代より音楽ライターとして執筆活動を開始。退社後は2年間中南米を放浪し、帰国後はフリーランスで雑誌やウェブでの執筆、ラジオや機内放送の構成選曲などを行う。開業直後のビルボードライブで約5年間ブッキングマネージャーを務めた後、再びフリーランスで活動。2022年4月創刊のソニーミュージック運営のウェブマガジン「otonano」の編集を務める。著書に『ブエノスアイレス 雑貨と文化の旅手帖』(マイナビ)、『アルゼンチン音楽手帖』(DU BOOKS)、共著『Light Mellow 和モノ Special』(ラトルズ)他多数。最新著書『「シティポップの基本」がこの100枚でわかる!』(星海社新書)が重版を重ね好評発売中。監修に携わったレコードジャケットを展示する「ART in MUSIC シティポップ・グラフィックス」が'22年7月16日より8月14日まで開催。


「ART in MUSIC シティポップ・グラフィックス」
会期:2022年7月16日(土)~2022年8月14日(日)
会場:BAG-Brillia Art Gallery(東京都中央区京橋3丁目6-18 東京建物京橋ビル)
開館時間:11:00~19:00 (休館日:月曜日)※祝日の7/18(月)は開館(翌日振替休)
料金:無料
https://www.brillia-art.com/bag/exhibition/06.html