連載|伊波真人のシティポップ短歌

今月のお題「大貫妙子 / ROMANTIQUE」

2022.6.15

今月のお題

大貫妙子 /ROMANTIQUE1980年


ソロ作品としては通算4作目、RVC移籍後2作目となるオリジナル・アルバム。フランソワーズ・アルディあたりのフレンチ・ポップをヒントに、本作から本格的なヨーロッパ路線を明確に打ち出した。坂本龍一を中心としたYMO人脈のミュージシャンが全面的にバックアップし、シンセサイザーの特色を生かして洗練されたサウンドで、アンニュイなヴォーカルを引き立たせることに成功している。後のコンサートでも重要なレパートリーとなる「雨の夜明け」「若き日の望楼」「新しいシャツ」といった名曲を多数含む他、シュガー・ベイブ時代の代表曲「蜃気楼の街」の再演も印象深い。

岸のない夜の水面を求めてた 夢を浮遊しつづけたいから岸のない夜の水面を求めてた 夢を浮遊しつづけたいから



伊波真人(いなみ・まさと)

歌人。1984年、群馬県高崎市生まれ。早稲田大学在学中に短歌の創作をはじめる。2013年、「冬の星図」により角川短歌賞受賞。雑誌、新聞を中心に短歌、エッセイ、コラムなどを寄稿。ポップスの作詞家としても活動中。ラジオ、トークイベントへの出演なども行う。音楽への親しみが深く、特にシティポップ、AORの愛好家として知られる。著書に、歌集『ナイトフライト』などがある。