2022年6月号|特集 大江千里

【Part1】Letter to S.O. ~ 大江千里への手紙 平野啓一郎(小説家)

コラム

2022.6.1

©ogata_photo


大江千里さん、デビュー40周年、おめでとうございます!
僕は今年、47才なのですが、大江さんがジャズという新しい世界に足を踏み入れたのが、丁度この年齢だということに、改めて深い深い感銘を受けております!日本でのスターの地位に安住することなく、自分の思いに忠実に生きるということは、並大抵ではありません。本当に頭が下がります。コロナに戦争と、本当に気が滅入りますが、だからこそ、今ほど音楽が求められている時代もないでしょう。ますますのご活躍をお祈りしております。



平野啓一郎(ひらの・けいいちろう)

●1975年生まれ。京都大学法学部卒。’99年在学中に文芸誌「新潮」に投稿した『日蝕』により第120回芥川賞を受賞。以後、多彩なスタイルで数々の作品を発表し、各国で翻訳紹介されている。’04年には、文化庁の「文化交流使」として一年間、パリに滞在。美術、音楽にも造詣が深く、日本経済新聞の「アートレビュー」欄を担当(’09年~’16年)、’14年には、国立西洋美術館のゲスト・キュレーターとして「非日常からの呼び声 平野啓一郎が選ぶ西洋美術の名品」展を開催した。同年、フランス芸術文化勲章シュヴァリエを受章。著書に、小説『葬送』『滴り落ちる時計たちの波紋』『決壊』『ドーン』『空白を満たしなさい』『透明な迷宮』『マチネの終わりに』『ある男』等、エッセイに『本の読み方 スロー・リーディングの実践』『小説の読み方』『私とは何か 「個人」から「分人」へ』『「生命力」の行方~変わりゆく世界と分人主義』『考える葦』『「カッコいい」とは何か』等がある。’19年に映画化された『マチネの終わりに』は、現在、累計60万部超のロングセラー。’22年6月下旬より『空白を満たしなさい』を原作とする連続ドラマがNHKにて放送予定。『ある男』を原作とする映画が’22年秋に公開予定。最新作は、「自由死」が合法化された近未来の日本を舞台に、最新技術を使い、生前そっくりの母を再生させた息子が、「自由死」を望んだ母の、<本心>を探ろうとする長編小説『本心』。