2022年5月号|特集 アルファに、胸キュン。

【Part2】アルファを作った音=村井邦彦の脳内音楽

会員限定

インタビュー

2022.5.10

インタビュー・文/田中久勝


【Part1】からの続き)

――ますますジャズにのめりこんでいきながら、クラシックもずっと聴いていたのでしょうか。

村井邦彦 聴いていました。中学・高校の頃は本当にジャズにどっぷり浸かったけど、同時に、さっき話に出てきた磯部くんのもう一人のお兄さんが作曲をしていて、彼が楽譜を書いたり読んだりするのを見ていました。例えば、彼はラヴェルの「亡き王女のためのパヴァーヌ」という、オーケストラでやるとすごくきれいな曲のスコアを持っていて、そのスコアを見ながらレコードをかけていたんです。だから子ども心に「みんな、こういうふうにしているんだ」ってわかって。でも、クラシックをきちんと教えてくれたのは、当時東芝音工(現ユニバーサル ミュージック)にいた幸松肇さんです。音楽業界では特に弦楽四重奏についての研究家として有名だったんです。本も何冊も出されていたくらいで、その方が僕の“先生”と言っても過言ではありません。幸松さんとの出会いは、僕が大学3年生の時に始めた「ドレミ商会」というレコード店でした。


村井邦彦(むらい・くにひこ)

●1945年生まれ。作曲家・編曲家・プロデューサー。米国ロサンゼルス在住。60年代後半、慶應義塾大学在学中より本格的に作曲を始め、森山良子、赤い鳥、タイガース他多くのアーティストに作品を提供する。一方、プロデューサーとしては'69年に音楽出版社アルファミュージックを設立。'77年にはアルファレコードの創業者、プロデューサーとして荒井由実(現・松任谷由実)や、細野晴臣が在籍したバンド、ティン・パン・アレーを見いだし、イエロー・マジック・オーケストラ(YMO)を世界に送り出し成功に導いた。現在はTVドラマやミュージカル舞台作品を作曲するなど、活動の幅をますます広げている。著書に『村井邦彦のLA日記』(リットーミュージック)がある。音楽ウェブサイト「リアルサウンド」で「モンパルナス1934~キャンティ前史」を好評連載中。7月3日には東京芸術劇場で『村井邦彦55周年コンサート モンパルナス1934』を開催。



リアルサウンド「モンパルナス1934~キャンティ前史」
https://realsound.jp/2020/11/post-657689.html



村井邦彦作曲活動55周年記念コンサート「モンパルナス1934」KUNI MURAI
村井邦彦の5 年ぶりとなる来日公演決定!
オーケストラとの世界初演楽曲
海宝直人、真彩希帆、田村麻子らシンガーが集結

日時:2022年7月3日(日)16:00開場/17:00開演
会場:東京芸術劇場コンサートホール
演奏:オーケストラ・アンサンブル金沢
指揮:森亮平
出演:村井邦彦 海宝直人 真彩希帆 田村麻子
チケット︓12,000円(全席指定・4歳以上入場可)
企画:オフィスストンプ
制作協力:アースワークエンタテインメント
主催:読売新聞社 オフィスストンプ
お問合せ:キョードー東京 0570-550-799 オペレーター受付時間 (平日11:00~18:00/土日祝10:00~18:00)
https://www.geigeki.jp/performance/20220703c/