2022年5月号|特集 アルファに、胸キュン。

胸キュン!マイフェイバリットテープ カフェで聴きたいALFA MUSIC

コラム

2022.5.2

選曲:中村智昭(MUSICAÄNOSSA / Bar Music Shibuya,Tokyo)



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カフェで聴きたいALFA MUSIC


思い起こせばアルファとの出会いはまだ小学生であった1980代中頃、広島にある実家の自家焙煎喫茶「中村屋」にアルバイトで来ていた当時大学生のお姉さんがプレゼントしてくれた一本のカセットテープでした。 その中にあったのがシーナ&ザ・ロケッツ「You May Dream」で、子供ながらに鮮やかなメロディーと歌詞の世界に引き込まれ、何度もリピートした覚えがあります。もしかするとそれが、こうしたポップ・ミュージックとの初めての本質的な接点だったのかもしれません。

それから40年近くが経った今、あらためてレーベル全体をできる限り丁寧に聴き直して思うのは、その輝きは全く失われていないということ。選曲においてそれが解りやすい形になればと、カセットテープのA面に当たる前半は昨今のバレアリック的な視点を持ってより新鮮に響くニューエイジと、少しばかりのアバンギャルドを意識しながら。B面と言える後半では、世界的に大きな話題となっているシティポップ〜ライトメロウ的なものへ、自分なりに緩やかなアプローチを行なったつもりです。いわゆる定番や王道と言えるようなものを選んではいないのですが、それでもこのプレイリストが、あの時僕が手にしたカセットテープのように貴方の音楽人生において少しでも意義のあるものとなるならば、それ以上に嬉しいことはありません。

蛇足になりますが、選曲作業スタート時に現在の気分で好きな曲をひたすらピックアップした結果、日向敏文さんの楽曲だけでうっかりリストが埋まってしまうところでした。本当に素晴らしい音楽家だと思います。



Profile

中村智昭(なかむら・ともあき)

●1977年広島生まれ。DJ/選曲家として「ムジカノッサ」を主宰、渋谷「バー・ミュージック」店主。ユニバーサル/ビクター/インパートメント/キング/コアポート/ディスクユニオンより複数枚のコンピレーションCDをリリース、ディスク・ガイドの企画・監修も手掛けると共にUSENやFM各局にも選曲を提供。ジョン・コルトレーンのトリビュート・コンピレイション『DearJ.C.』(ユニバーサル)、ベニー・シングス『The Best Of Benny Sings』(ビクター)、バラケ・シソコ『At Peace』(プランクトン)のライナーノーツや、「Latina」誌、HMV発行の「Quiet Corner」、リットーミュージック「Jazz Next Standerd」シリーズへの寄稿など。CALMベスト・アルバム『Mellowdies for Memories』(ラストラム)の選曲とその解説も担当している。また、渋谷「カフェ・アプレミディ」にて’99年のオープンから’09年までの10年間店長も務めた。’10年渋谷に「バー・ミュージック」をオープン。’13年にはレーベル「ムジカノッサ・グリプス」をスタート。近年はスモール・サークル・オブ・フレンズ/STUDIO75とのコラボレーションも活発化している。晩年のテリー・キャリアーのCDオンリー音源から厳選し世界初ヴァイナル化した『Tokyo Moon』や、コンピレーションCD+7”EP『Bar Music』シリーズも好評。最新作は『Bar Music × CORE PORT Promising Time for 24:00 Later』(コアポート)。

http://barmusic-coffee.blogspot.com/