連載|DJ OSSHY|TOKYOの未来に恋してる!

第41回【対談⑪ 大友康平 × DJ OSSHY[後編]】

2020.2.24

第41回【対談⑪ 大友康平 × DJ OSSHY[後編]】

80年代はお祭りだったよね。武道館の連続ライヴの打ち上げでディスコのキサナドゥを貸し切り。テーブルにはドンペリとか高いワインが置いてあったけど、俺はロックンローラーだから、そんな酒には興味ない! I.W.ハーパー持ってこい!!って……今思うと損したなあ(笑)(大友康平)



ハハハ。HOUND DOG の硬派的なイメージがありましたからね。でも、それは残念(笑)(DJ OSSHY)



DJ OSSHY ([[前編]からの続き)大友さんとの最初の出会いは僕と早見優ちゃんが司会をやらせてもらったMXのテレビ番組『Disco Train』のゲスト出演だったわけですが、そのときを振り返ってみると自分が緊張していたことをすぐに思い出すんですよね。僕はディスコ畑の育ちで、大友さんは生粋の骨太ロックンローラーで、まったく接点がないわけですから。怒られるんじゃないかって。

大友康平 そうそう。OSSHYは俺のことをあまりしゃべらないし、下手なこと言ったら暴れるんじゃないかって思ってたんだよね。あとで知った(笑)。まあ、音楽的にはそういう遠い関係性に見えるかもしれないけど。でも、仕事で車移動するときって、ほとんどラジオを聴いていて、OSSHYの番組もよく聴いてた。あと、俺はOSSHYのお父さん(押阪忍)、お母さん(栗原アヤ子)世代ですから(笑)。

DJ OSSHY あ、それは光栄です(笑)。でも、音楽的にバッシングを受けるんじゃないかと覚悟して『Disco Train』の収録に臨んだら、実は大友さんはディスコも詳しかったという。ディスコ体験も豊富で。あの収録は本当に楽しかったです。


TOKYO MX 『Disco Train』より 写真提供:エス・オー・プロモーション

大友康平 盛り上がったよね、ふたりで……早見優さんがまったく入ってこれないくらいに(笑)。高校生時代に社会人や大学生のバンドに潜り込んでドラムを叩いていたんだけど、その時はディスコというよりはダンス・パーティーの時代で、生バンドが演奏してみんなが踊っていたんですよ。30分のステージを5回やるとかという。テンプテーションズの「ゲット・レディー」で、みんな同じステップで踊ったり。あとはクック・ニック&チャッキーの「可愛い人よ」とか。

DJ OSSHY なるほど。箱バンの時代だったんですね。では、ディスコに行かれるようになったのは大学生になった頃から?

大友康平 高校生の頃は埼玉の川越で過ごしていて、大学は仙台。東北学院大学、略して“東大“に進学しました(笑)。だから『秘密のケンミンSHOW』に出演したときに宮城県の席に座っていても、本当は俺は埼玉県かなと思うときもあるんですけど(笑)。

DJ OSSHY そんなもんですかね~。

大友康平 仙台は繁華街の規模が大きくて、ディスコもたくさんあった。だから、ディスコはその“東大“時代ですね。グリーンハウス、最後の20セント、ビブロス、カルチャラタンとかに行ったかな。あと、当時のディスコって飲み放題食べ放題だったんだけど、食べ放題と言ってもフレンチフライが山盛りになっているだけということもあったり。食べ過ぎてよく胸焼けしたな。3年生くらいになると飲む、踊りに行く、ナンパ、ケンカというヘヴィローテーションになっていた(笑)。

DJ OSSHY わはは! ディスコの定番ですね、そのローテーションは。思い出の曲はありますか?

大友康平 当時、ワイルド・チェリーの「プレイ・ザット・ファンキー・ミュージック」がヘヴィローテーションで、この曲にも影響を受けたな。「ハッスル」とかも。ヴァン・マッコイはコンサートにも行ったな。ドラムがかっこ良くて。

DJ OSSHY あれはスティーヴ・ガッドなんですよ。

大友康平 ええ! あのドラム、スティーヴ・ガッドなの!? えーそれは知らなかった。もう一回ちゃんと聴いてみよう。そのコンサートのラストで「ファイア」という曲をやったんだけど、ヴァン・マッコイが日本だからということで気を利かせたんだろうね、「ファイア」という歌詞を「火」って直訳の日本語で歌って。何とも間抜けな感じだったのが思い出として残っている(笑)。

DJ OSSHY ハハハ。

大友康平 あとはアラベスクの「ハロー・ミスター・モンキー」、ペニー・マクレーン「レディ・バンプ」、オシビサ「サンシャイン・デイ」、KC&ザ・サンシャイン・バンド「ザッツ・ザ・ウェイ」とか。アース・ウィンド&ファイアーの「セプテンバー」のビート感は抜群だったね。


DJ OSSHY 選曲・監修
初のディスコ・コンピレーションCD BOXセット6枚組(CD5枚+DVD1枚)
『ディスコ・ラヴァーズ』
「ハッスル」ヴァン・マッコイ&ソウル・シティ・シンフォニーほか収録


DJ OSSHY 「ハロー・ミスター・モンキー」は仙台のディスコでもかかっていたんですか? この曲は新宿のディスコでのヒットで、渋谷や六本木ではかかっていなかったんです。個人的に興味深いですね。

大友康平 エリアではなく東京を物差しに見ていたんだんじゃないかな、仙台のディスコもそのほかの地方のディスコも。東京で流行っている曲ということで。あとはMFSBの「TSOP」。「ソウル・トレインのテーマ」ね。JUNがスポンサーになって、日本でも放送されて。ドン・コーネリアスがいい味出してた。

DJ OSSHY 『ソウル・トレイン』をモチーフにして現代版にしたのが『Disco Train』だったんですよ。

大友康平 そうだったんだ。なるほどね。よくわかる。ディスコって、やっぱりポピュラーなんだよね。つまりポップ。リズム&ブルースの名曲をビートを変えたりして、メロディ・ラインが立っている。それでロックからディスコにやって来たのがKISS。


KISS
『地獄から脱出』
1979年


DJ OSSHY そのディスコ調のロック・ナンバー「ラビン・ユー・ベイビー」がリリースされたのが‘79年。大友さんには、あの曲はアリだったんですか?

大友康平 これは当時も散々話題になったよね。KISSであろうが誰であろうが、リスナーにとって耳に良い曲で身体に違和感をおぼえないんだったら、ロック・バンドがディスコに便乗したって全然問題じゃないと思ってましたね。逆にロック・バンドがディスコなんてやりやがってと文句を言う方が俺からしたらかなりカッコ悪い。やっている本人たちはきっと清水の舞台から飛び降りるくらいの度胸が必要だったかもしれない。で、やってみたらヒットした。それが答えですよ。

DJ OSSHY すばらしい。KISSだけでなく、70年代末から80年代初め当時はクイーンが「地獄へ道づれ」、ストーンズが「ミス・ユー」というように、世界を代表するバンドたちもディスコのアプローチを見せましたもんね。


ローリング・ストーンズ
『女たち』
1978年


大友康平 「ミス・ユー」はミック・ジャガーのファルセットも素敵だよね。ロッドの「アイム・セクシー」も違和感なく聴けたな。当時、しっかりカヴァーもしちゃいました(笑)。やっぱりどの曲もメロディがいい。ギターのリフも印象的だし、あくまでもアレンジのいち要素としてディスコを取り上げているのであって、バンドやアーティストの本質は何も変わっていない気がするな。でもね、正直に言うとKISSだけはちょっと違和感あったかな(笑)。

DJ OSSHY そこは譲れないと(笑)。ぼくは’82年にDJデビューをしているんですが、そのときのダンス・フロアはロックとソウルが融合していました。


ダリル・ホール&ジョン・オーツ
『フロム・A・トゥ・ワン』(原題:ROCK’N SOUL PART1)
1983年


大友康平 ホール&オーツの「プライベート・アイズ」なんか、まさにその代表で。J・ガイルズの「堕ちた天使」もそうでしょう。

DJ OSSHY グレッグ・キーン・バンドの「ジェパーディ」も流行ってました。その後に第二期ブリティッシュ・インヴェイジョンでデュラン・デュラン、カルチャー・クラブ、ワム!などポップ/ロックのアーティストの曲もディスコで人気になり、まさにあらゆるサウンドがディスコにあふれかえっていた時期でしたね。

大友康平 そうだね。エアロスミスの「デュード」なんかもディスコを感じる1曲だし、ランD.M.C.と再録した「ウォーク・ディス・ウェイ」もかかっていたでしょう?

DJ OSSHY めちゃっくちゃかかってました。東京ではディスコに通われていたんですか?

大友康平 六本木のスクエアビルに入っていたツバキハウスの系列店の玉椿には行ってましたね。そこでまたケンカになったり(笑)。音楽的に考えると、70、80年代のポップ・ミュージックにおいて、ディスコは中心的な存在だったように思う。流行という意味でも、そのリズムやビートがもたらした影響という意味でも。

DJ OSSHY メジャー・コードの曲が大半で、明るい曲調というのも時代の空気に合っていたんじゃないでしょうか。照明も含めて店内が明るい感じだったのも、そのサウンドの雰囲気に調和するようにという意識があったと思いますし。それが90年代に入ってクラブが全盛を迎えると真逆とも言える状況になるんです。明るいのはダサいという雰囲気になって、照明は暗くなり、ミラーボールは取り外される。マイナー・コードで斜に構えたような曲調の方がかっこいいというような風潮になっていきました。ディスコという言葉自体もダサい象徴のように扱われて、ディスコDJがどんどんクラブDJに鞍替えしていったんです。でも、今はディスコが復権して頭上にはミラーボールが回り、明るい照明が戻ってきた。ディスコという言葉も躊躇なく使われるようになっています。まさに周期のようにディスコが帰ってきた。

大友康平 でもさ、本当の流行というのは誰もが知っていて、夢中になることだと思うんだよね。70年代、80年代のディスコって、そういう熱狂ぶりだったじゃない。だからこそ周期となって帰ってくる。時代背景もあると思うけど。90年代はバブル景気がはじけて停滞ムードになっていたし。80年代は逆にお祭りムードだった。バブルの時だからできたどんちゃん騒ぎだったね。武道館の連続ライヴの打ち上げでキサナドゥを貸し切ったんだけど、テーブルにはドンペリとか高いワインが置いてあって、我先にとばかりに飲んでた。だけど、俺はロックンローラーだからそんな酒には興味ない! I.W.ハーパー持ってこい!! って飲んでたんだけど……今思うと損したなあ(笑)。

DJ OSSHY ハハハ。HOUND DOGの硬派的なイメージがありましたからね。それは残念(笑)。そういえば、去年の暮れにグランドハイアット東京で恒例のディスコ・イベントを行いましたが、事前に大友さんにもご案内していて、ギリギリまで調整していただいたけれど残念ながらご参加いただけませんでした。その欠席のご連絡をイベント前日にLINEでいただいたところ、シェリル・リン「ガット・トゥー・ビー・リアル」、リック・アストリー「ギヴ・ユー・アップ」の2曲が書いてあって「このあたりで踊らせちゃって」とメッセージにあってニンマリしましたね。シェリル・リンはわかるんですが、リック・アストリーは意外でした。


リック・アストリー
『ホエネヴァー・ユー・ニード・サムバディ』
1987年


大友康平 リック・アストリーって、ちょっと垢抜けない感じなのがいいんだよね。実は「ギヴ・ユー・アップ」のヒットに隠れてあまり知られていない「ストロング・ストロング・マン」というリズム&ブルース調の曲が好きで。その曲をハワイで初めて聴いて、すぐさまタワーレコードに行って買おうとしたんだけど、アーティスト名も曲名もわからない。仕方がないからその場で店員に歌って聴かせて(笑)、ようやく買えた思い出がある。だからリックは「ギヴ・ユー・アップ」よりも「ストロング・ストロング・マン」の方が好きなんだけど。

DJ OSSHY その店員さんもビックリしたでしょうね(笑)。さすが、ディスコにも明るい! イベントでもちゃんとかけましたよ、2曲とも。しっかり盛り上げさせていただきました。

大友康平 あのリクエスト通ったんだ(笑)。そういえば、そのイベントの前に銀座でも会ったよね。山野楽器のあたりで車を降りたら、OSSHYがしゃべってて、俺はすっかりお客さんに混じって見ていたという。

DJ OSSHY あの時はびっくりしましたよ! 普通にお客さんの中に溶け込んでいて。すぐにはわからなかった。すいませんでした。慌てて来ていただいて、急きょちらっとご紹介させていただきましたよね。……あ、今日はもう時間が来たようです。

大友康平 ありがとう! ぜひ、また呼んでください!! 今度はラジオでもじっくりディスコトークしましょう! [終わり]


対談進行・文/油納将志








●大友康平(おおとも・こうへい)

1976年、東北学院大学在学中に学校の仲間とHOUND DOGを結成し、1980年にメジャー・デビューを飾る。軽快なロックンロールと重厚なバラードを武器にライブでは絶大な評価を得る。‘85年シングル「ff(フォルテシモ)」が大ヒット。その後「Only Love」「BRIDGE」など数多くのヒットを生み出し、アルバム『GOLD』『BRIDGE』はオリコン1位を獲得。ライヴでも武道館15日連続公演といった記録だけでなく、HIROSHIMAピース・コンサート(チャリティ)を10年間行い続け、被災者施設を建設するなど、日本のロック文化を常に担い続けてきた。2008年5月28日にソロプロジェクトとして、70年代の名曲に特化したコンセプトカヴァーアルバム「J-STANDARD 70’s」をリリースし、全国ツアーを行い、2009年5月20日には「HOUND DOG ULTIMATE BEST」をリリース、2010年3月21日にメジャーデビュー30周年を迎え、「BIRTHDAY LIVE」を行った。 2011年3月11日の東日本大震災以降、被災地で炊き出しやミニライブを行うなど精力的に活動し、復興支援チャリティソング『ハガネのように 花のように』の楽曲とPVを2011年6月1日より配信開始した。また、数多くのバラエティドラマや映画にも出演し、役者としての評価も高い。


HOUND DOG 40th Anniversary Live 2020
『First Finale』


豊洲PIT(東京)
 2020年3月13日(金) 開演 : 19:00
 2020年3月14日(土) 開演 : 16:00

森ノ宮ピロティホール(大阪)
 2020年3月21日(土) 開演 : 18:00
 2020年3月22日(日) 開演 : 16:00

詳細は、iehokオフィシャルホームページよりご確認ください
www.iehok.com





DJ OSSHY オフィシャルファンクラブ


DJ OSSHY 出演スケジュール

2月29日(土) InterFM897「RADIO DISCO」15:00~17:45 生放送
3月1日(日) BSフジ「DJ OSSHY DISCO TV」25:30~25:55 再放送
3月7日(土) InterFM897「RADIO DISCO」15:00~17:45 生放送
3月13日(金)【東京都・六本木】ナバーナマンスリーパーティー @ エスプリ東京
3月14日(土) InterFM897「RADIO DISCO」15:00~17:45 生放送
3月19日(木) BSフジ「DJ OSSHY DISCO TV」23:30~23:55
3月21日(土) InterFM897「RADIO DISCO」15:00~17:45 生放送
3月28日(土) InterFM897「RADIO DISCO」15:00~17:45 生放送
3月29日(日)【東京都・西麻布】サンデーディスコ @ 西麻布エーライフ



▲諸事情によりイベントは変更になることもございます。 詳しくはDJ OSSHY公式サイト(www.osshy.com) をご参考ください。


プロフィール

DJ OSSHY
DJ OSSHY (公式サイト www.osshy.com)
7月22日「ディスコの日」制定者。80′s ディスコ伝道師。
MCとミキシングを両方こなす、DISCO DJのスペシャリスト。
安心・安全・健康的でクリーンなディスコの魅力を全国に伝えている。
テレビ司会者の第一人者「押阪 忍」の長男。

親子で楽しめる「ファミリーディスコ」、高齢者向け「シルバーディスコ」など、 世代を超えて楽しめるイベントを開催。
東京スカイツリー、東京タワー、羽田空港、大型客船シンフォニー、 小金井カントリー倶楽部などでのディスコイベントのメインDJを務め、郷ひろみ、鈴木雅之、角松敏生との共演イベントも大きな話題を呼んだ。
売野雅勇 作詞活動35周年記念コンサートでは、総合司会を務めた。

民放テレビ初のディスコTV番組「DISCO TRAIN」(TOKYO-MX)を始めとした、ディスコ放送番組DJのパイオニアでもある。

【レギュラー番組】

・「DJ OSSHY DISCO TV」(BSフジ)毎月第3木曜日24:00~24:25
・「DJ OSSHY × まつきりな 推しナイト!」(BSフジ)毎月第4木曜日24:00~24:25
・「Family Disco」(JFN系列)全国FMラジオ放送
・「RADIO DISCO」(InterFM897)毎週土曜日15:00~17:45
・「横浜DiscoTrain」(FMヨコハマ)毎週日曜日15:48~15:57

他、2018年6月4日 テレビ朝日「徹子の部屋」など様々な番組に出演。

2021年9月22日には最新mix CD『 SURF DISCO 2 -NO SURF, NO LIFE.- mixed by DJ OSSHY 』をリリース。
2016年10月には、初の書き下ろし・エッセイ『ディスコの力』(PHP出版)を出版した。

今、日本で一番集客力のある、ディスコ世代に支持されているDJタレント。

DJ OSSHY公式サイト
www.osshy.com

公式ファンクラブサイト
osshyfan.com

公式オンラインショップ
djosshy.theshop.jp

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