僕が主催しているディスコ・イベントではレイさんの曲はいつもかけていますよ。悩ましいのは「ウーマン・ニーズ・ラヴ」。少しリズムが強いから、かけるのが難しいんですよね(DJ OSSHY)
わかるよ。「ウーマン・ニーズ・ラヴ」はミドル・テンポに近いから。カップルがチークダンスするには、ちょっと忙しいよね(笑)(レイ・パーカーJr.)
── DJ OSSHYの連載「TOKYOの未来に恋してる!」の対談シリーズの6人目となりました。今日お招きしたのはブラック・コンテンポラリー/アーバン・ソウルの名手=レイ・パーカーJr.さんです。OSSHYさんは昨夜(1月29日)のBillboard Liveもお客さんとして鑑賞されたようですが、いかがでしたでしょうか。
DJ OSSHY 昨夜は素晴らしいステージでした! まだ興奮さめやらぬ状態ですが(笑)、一夜明けてこうやって向かいあってお話できるのが光栄です!! 僕はレイさんのアルバムの中でも、’79年の『ロック・オン』、’80年の『誓いのセイム・タイム』、今回のライヴで再現された’81年の『ウーマン・ニーズ・ラヴ』まで、つまりレイディオの時代ですね、そして’82年の初のソロ・アルバム『ジ・アザー・ウーマン』まで、まさにリアルタイムで聴いていました。‘82年にはDJとしてのキャリアをスタートさせた年でもあり、その時期で最も好きなアルバムのひとつが『ウーマン・ニーズ・ラヴ』なので、本当に楽しみにしていたライヴでした。
Ray Parker Jr. & Raydio-Album『A Woman Needs Love』Complete and more Hits- @billboard LIVE TOKYO /29,30,January 2019/Photo:yuma totsuka
昨日のステージはある意味、ベテランの円熟味あふれるパフォーマンスで、歌声もギターの演奏も健在。80年代前後とまるで変わらないレイさんの姿を観ることができて、とてもうれしかったです。レイさんが1枚のアルバムにフォーカスしたライヴを行なうのは初めてだと思うのですが、数あるアルバムの中から、なぜ『ウーマン・ニーズ・ラヴ』を選ばれたのでしょうか?
レイ・パーカーJr. その質問に答える前に……まずは、ありがとう(笑)。そんなふうに言ってもらえて、うれしいよ。東京の前に大阪(1月26日)のBillboardでもライヴを行なったんだけど、みんな盛り上がってくれて、どちらも最高に楽しい夜になったね。昨日来てくれた女性のファン、80年代当時は大学生くらいだったように見える彼女がロマンティックな曲になると当時に戻ったような輝いた表情を見せてくれたのが印象的だったよ。
Ray Parker Jr. & Raydio-Album『A Woman Needs Love』Complete and more Hits- @billboard LIVE TOKYO /29,30,January 2019/Photo:yuma totsuka
日本に来るたびに色んなファンから「あの曲やってよ」「次はこの曲を聴きたいな」ってリクエストされるから、だったらアルバム1枚、それじゃ『ウーマン・ニーズ・ラヴ』を丸々やっちゃおうかって、なったんだ。今までやったことがなかったから、いいチャレンジになったと思うよ。
レイ・パーカーJr.&レイディオ
『ウーマン・ニーズ・ラヴ』
1981年
DJ OSSHY 僕は‘82年にプロのディスコDJになって今年で36年目になるんですが、DJを始めたきっかけのひとりがあなたなんです。世界一の歌声、世界一のファンク・ギターのカッティング、このふたつの最高の魅力を兼ね備えた“二刀流”のアーティストとして当時からずっと憧れていました。
レイ・パーカーJr. それは光栄だね! 実は今二十歳の息子ギブソンもプロのDJなんだ。ディプロやスティーヴ・アオキのオープニングDJとして、がんばっているよ。俺がやってる音楽とはちょっと違っていて、どこにレコード盤はあるんだ!? って思わず聞きたくなるような最新の機材を使ってDJしているけどね(笑)。「ゴーストバスターズ」をサンプリングしたトラックも使っているみたいだよ。
── OSSHYのディスコでのお気にお入りレイ・パーカーJr.ナンバーというと。
DJ OSSHY アルバムだと『レイディオ』(’77年)『ロック・オン』(’78年)。特に『ロック・オン』に収録されている「ホット・スタッフ」「ロック・オン」をよくディスコでかけましたね。次の3rdアルバム『誓いのセイム・タイム』にはもうノックアウトされました。
レイ・パーカーJr.&レイディオ
『誓いのセイム・タイム』
1980年
発表時の’80年は六本木、新宿、渋谷のディスコにまさにトライアングル状態で通っていたんですが、『誓いのセイム・タイム』(’80年)は必殺の「パーティ・ナウ」だけじゃなく、アルバムのすべての収録曲がお店でかかっていたんです。4thアルバム『ウーマン・ニーズ・ラヴ』からは「ユー・キャント・ファイト」が印象的でしたね。このアルバムもシングル・カットされていない曲もたくさんディスコでかかっていました。
レイ・パーカーJr. 本当に!? それはうれしい事実だな。じゃあ、『ウーマン・ニーズ・ラヴ』の次は『誓いのセイム・タイム』の全曲再現ライヴも日本ではやらないといけないね(笑)。
DJ OSSHY はい、次回ぜひ! 今回『ウーマン・ニーズ・ラヴ』の再現が実現したので、次は『誓いのセイム・タイム』だろう、と待っている人も多いと思います。『誓いのセイム・タイム』(‘80年)と『ウーマン・ニーズ・ラヴ』(’81年)、そしてソロの1st『ジ・アザー・ウーマン』(’82年)は僕の中では勝手に「レイ・パーカーJr.三部作」と呼んでいるんですが(笑)、'80年~’82年に発売されたこの3枚は日本ではサーファー・ディスコと呼ばれたムーヴメントの中で絶大な人気を誇っていたんですよ。
レイ・パーカーJr.&レイディオ
『ジ・アザー・ウーマン』
1982年
レイ・パーカーJr. サーファー・ディスコ?
DJ OSSHY 日本だけのムーヴメントなんですけど、みんなアロハシャツを着ているようなファッションで、昼はサーフィンを楽しみ、夜はディスコに繰り出すというようなライフスタイルの若者がたくさんいたんです。でも、みんながサーフィンをやっていたわけじゃなく、サーファー気取りの“陸サーファー”もたくさんいました。
レイ・パーカーJr. いるいる(笑)、アメリカにもいるよ、陸サーファーは。
DJ OSSHY やっぱり世界共通なんですね(笑)。70年代後半から80年代前半当時の18歳から23、24歳くらいまでの日本の若者の多くはディスコで遊んでいたんです。そんな時代背景とレイさんの音楽が最高のかたちでマッチしていたんですよね。『誓いのセイム・タイム』のオープニング「パーティ・ナウ」には振り付けもあるんですよ。
レイ・パーカーJr. それはすごい! 「パーティ・ナウ」は当時ローラースケート場でよくかかっていた印象があるな。
DJ OSSHY え! え!? 「パーティ・ナウ」の振り付けは日本では“ローラースケート”というんですよ。偶然かもしれませんが、本当にぴったりですね。ちなみに日本のディスコではチークタイムが復活しつつあるんです。
DJ OSSHY監修・選曲『ディスコ・ラヴァーズ』
「パーティ・ナウ」(レイ・パーカーJr.&レイディオ)ほか全108曲収録
僕が主催しているディスコ・イベントでは「オールド・プロ」や「ソー・イントゥ・ユー」など、レイさんの曲はいつもかけていますよ。悩ましいのは「ウーマン・ニーズ・ラヴ」。少しリズムが強いから、かけるのが難しいんですよね。本場であるアメリカでもチークタイムはまだあるものなのでしょうか?
レイ・パーカーJr. わかるよ。「ウーマン・ニーズ・ラヴ」はミドル・テンポに近いから。カップルがチークダンスするには、ちょっと忙しいよね(笑)。チークタイムは、残念ながらアメリカではなくなってしまったね。ずっとピークタイムが続いているような感じだよ。ロマンティックな時間も必要だと思うけどね。俺が若い頃はスローな曲がかかるのをずっと待って、かかったらすかさず女の子を誘いにいったもんだよ。
DJ OSSHY ですよね(笑)。それは残念です。日本のディスコでは今もレイさんの音楽で盛り上がっていますが、80年代当時は日本で受けているということはわかってらっしゃいましたか?
レイ・パーカーJr. いや、日本がそんなに俺の音楽で盛り上がってくれているなんて、当時はまったくわからなかったよ。デビューした頃、アメリカでは俺たちの曲はラジオでもかからないし、どうしようかと思っていたときに「ジャック&ジル」がヒットして(’78年4月全米8位)、みんなが踊っている光景を見てようやく、これでやっていけるかもしれないと思ったんだ。OSSHYもDJプレイで初めて客が盛り上がったときに、そう感じたりはしなかった?
DJ OSSHY はい! まさにそうでした。
レイ・パーカーJr. それから順調にやってこれて、’81年に『ウーマン・ニーズ・ラヴ』で初めてジャパン・ツアーも実現した。4週間くらい日本各地をまわって、日本にもファンがたくさんいてくれたことがわかったんだ。2nd『ロック・オン』なんて、誰も聴いてくれてないんだろうなと思っていたんだけど、そうじゃなかった。今、OSSHYの話を聞いて、さらにわかったよ。うれしいね。[後編に続く]
対談進行・文/油納将志 通訳/丸山京子 写真/島田香
取材協力/Billboard Live TOKYO http://www.billboard-live.com/
- ●Ray Parker Jr. レイ・パーカーJr.
- 1954年、デトロイト生まれ。幼い頃から地元モータウン・レコードのセッションに参加するほどのギターの腕前を見込まれ、17才の時にスティーヴィー・ワンダーやアレサ・フランクリンのバック・バンドに抜擢される。1977年には自身のグループ、レイディオを結成。レイ・パーカーJr.&レイディオを名義で「ジャック&ジル」「ウーマン・ニーズ・ラヴ」などヒットを量産。魅惑のカッティング・ギターとグルーヴで新旧ファンを虜にしている。映画『ゴーストバスターズ』シリーズ(’84年~)の同名主題歌は世界で最も知られたサントラヒットのひとつ。
DJ OSSHY 出演スケジュール
3月1日(金) | SUPER SKYTREE DISCO @ 東京スカイツリー |
3月2日(土) | 「RADIO DISCO」InterFM897 15:00~18:00 生放送 |
3月4日(月) | Jテレ(J:COMテレビ)「さきどりJ:COM」出演 |
3月9日(土) | 「RADIO DISCO」InterFM897 15:00~18:00 生放送 |
3月15日(金) | ナバーナマンスリーパーティー @ DiA tokyo |
3月16日(土) | 「RADIO DISCO」InterFM897 15:00~18:00 生放送 |
3月20日(水) | 【山梨】イベント出演予定 |
3月23日(土) | 「RADIO DISCO」InterFM897 15:00~18:00 生放送 |
3月23日(土) | アンバサダー就任 トーキョー・ディスコティック |
3月24日(日) | アンバサダー就任 コーベ・ディスコティック |
3月30日(土) | 「RADIO DISCO」InterFM897 15:00~18:00 生放送 |
3月31日(日) | サンデーディスコ @ 西麻布エーライフ |
イベントは変更になることもございます。 詳しくはDJ OSSHY公式サイト(www.osshy.com) をご参考ください。
プロフィール
- DJ OSSHY (公式サイト www.osshy.com)
-
7月22日「ディスコの日」制定者。80′s ディスコ伝道師。
MCとミキシングを両方こなす、DISCO DJのスペシャリスト。
安心・安全・健康的でクリーンなディスコの魅力を全国に伝えている。
テレビ司会者の第一人者「押阪 忍」の長男。
親子で楽しめる「ファミリーディスコ」、高齢者向け「シルバーディスコ」など、 世代を超えて楽しめるイベントを開催。
東京スカイツリー、東京タワー、羽田空港、大型客船シンフォニー、 小金井カントリー倶楽部などでのディスコイベントのメインDJを務め、郷ひろみ、鈴木雅之、角松敏生との共演イベントも大きな話題を呼んだ。
売野雅勇 作詞活動35周年記念コンサートでは、総合司会を務めた。
民放テレビ初のディスコTV番組「DISCO TRAIN」(TOKYO-MX)を始めとした、ディスコ放送番組DJのパイオニアでもある。
【レギュラー番組】
・「DJ OSSHY DISCO TV」(BSフジ)毎月第3木曜日24:00~24:25
・「DJ OSSHY × まつきりな 推しナイト!」(BSフジ)毎月第4木曜日24:00~24:25
・「Family Disco」(JFN系列)全国FMラジオ放送
・「RADIO DISCO」(InterFM897)毎週土曜日15:00~17:45
・「横浜DiscoTrain」(FMヨコハマ)毎週日曜日15:48~15:57
他、2018年6月4日 テレビ朝日「徹子の部屋」など様々な番組に出演。
2021年9月22日には最新mix CD『 SURF DISCO 2 -NO SURF, NO LIFE.- mixed by DJ OSSHY 』をリリース。
2016年10月には、初の書き下ろし・エッセイ『ディスコの力』(PHP出版)を出版した。
今、日本で一番集客力のある、ディスコ世代に支持されているDJタレント。
DJ OSSHY公式サイト
www.osshy.com
公式ファンクラブサイト
osshyfan.com
公式オンラインショップ
djosshy.theshop.jp
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