2026年9月号|特集 Chara

【後編】岩井俊二が語る『スワロウテイル』とChara

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インタビュー

2026.9.11

インタビュー・文/大谷隆之 写真/島田香


(【前編】からの続き)

こんなにあどけなく、瑞々しい表情がスクリーンに映っていたんだなと。


── そもそも岩井監督はいつ頃、Charaさんの存在を認識されたんですか?

岩井俊二 正確な時期は忘れましたが、彼女がデビューしてしばらく後だったと思います。当時、ソニーミュージックの女性アーティストがわりと好きで、個人的に注目していたんですね。種ともこさんもそうですが、強烈な個性の人が多かったじゃないですか。そこにエピック(Epic/Sony Records)から突然、Charaという変わった名前の人が現れて。僕の周りでも「Chara、すごくいいよね!」という人がたくさんいた。それでCDを買ったら、いきなり「♪大きな地震がきたって」という囁き声が流れてきて驚いたんです。「え、この人は一体なにを歌っているんだ!?」って。

── セカンドアルバム『SOUL KISS』(’92年9月)の3曲目「大きな地震がきたって」ですね。

岩井俊二 はい。またしてもブッ飛んだ人が出てきたなと(笑)。もしかしたら先にファーストを聴いていたのかもしれないけど、僕の中ではその印象が強烈でした。その時点では、ちょっとマニアックでギーク(オタク、変わり者)っぽい女の子を想像していたんですよね。たぶん、サウンドの傾向からそう感じたんだと思う。でもライヴに行って、またもイメージが一変しました。ステージではとにかく歌って踊って……要はフィジカルもめちゃめちゃ強い人だった。「へええ、Charaってこんな人だったのか」と衝撃を受け、パフォーマーとしていろんなポテンシャルを感じました。

── その後、岩井監督は’93年3月にフジテレビの深夜枠で「FRIED DRAGON FISH」というドラマの脚本・演出を手がけられます。その主題歌にCharaさんのファーストアルバム『Sweet』(’91年11月)の「Break These Chain」を使われた。仕事としてはこれが最初の関わりで……。

岩井俊二 そうなりますね。

── 当時の雑誌を読むと、監督が「この曲を使いたいがために脚本を書き下ろした」という文脈の紹介記事もありました(『キネマ旬報』’96年5月下旬特別号)。実際はどうだったんでしょう?




●岩井俊二 (いわい・しゅんじ)
1963年、宮城県生まれ。1988年より「GHOST SOUP」「ルナティック・ラヴ」など数々のドラマやミュージックビデオ、CF等多方面の映像世界で活動を続け、その独特な映像は“岩井美学”と称される。1993年、フジテレビのオムニバスドラマ『if もしも』の一作品として放送された「打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?」がテレビドラマとしては異例の日本映画監督協会新人賞を受賞。その後、映画へ進出。1995年、初の長編映画『Love Letter』を公開。代表作は、映画『スワロウテイル』『リリイ・シュシュのすべて』『ヴァンパイア』『リップヴァンウィンクルの花嫁』『ラストレター』、小説『ウォーレスの人魚』『番犬は庭を守る』『零の晩夏』等。2012年、東⽇本⼤震災復興⽀援ソング『花は咲く』の作詞を担当し、岩谷時子賞特別賞を受賞。2015年、初の長編アニメーション『花とアリス殺人事件』を公開し、国内外で高い評価を受ける。2018年、中国映画『你好,之華(チィファの手紙)』を制作。2023年、⾳楽映画『キリエのうた』を公開。2025年4月、公開30周年を記念して『Love Letter [4Kリマスター]』が公開され、自身も映画監督として30周年を迎えた。国内外を問わず、映画監督・小説家・音楽家など多彩なジャンルでボーダーレスに活動し続けている。2026年9月から『スワロウテイル 4Kリマスター』が公開される。

映画『スワロウテイル 4Kリマスター』公式サイト
https://swallowtail4k.jp/