2026年6月号|特集 THE MODS

<Disc1:Blu-spec CD2>|『SMOKIN' GUN ~Forever Hits:Fan Edition 45~』

解説

2026.6.1

文/兼田達矢


1stアルバムの1曲目を飾った「不良少年の詩(SONG FOR JOHN SIMON RICHIE AND US)」から始まるDisc1


 『SMOKIN’ GUN』というタイトルを勝手に解釈すれば、その胸に秘めた銃は今しがたも銃弾が放たれたかのように銃口の辺りには白い煙が漂い、そしてさらにいつでも発弾の準備はできている、というイメージ。物騒と言えば物騒だけれど、そんなふうに精神的武装を必要としていた連中も少なくなかったわけで、だからこそこのオールタイム・リクエスト・アルバムの企画には約5000通ものリクエストが寄せられたのだろう。共感の記憶や後悔の念、いっそうの活躍への期待などなど、様々な思いがおそらくは折り重なったそのリクエストをメンバーがどんなふうに受け止め、整理したのか、その詳細は知る由もないが、厳選された45曲を収めた3枚のディスクの構成を確認すると、やはりディスクごとのテーマのようなものが浮かび上がってくる。それこそ銃口の先で揺れる煙のように、それは油断すると見逃してしまうようなことかもしれない。しかし、その一方で胸の奥深いところを見事に撃ち抜かれてしまう人もいるはずだ。

 記念すべき1stアルバムの1曲目を飾った「不良少年の詩(SONG FOR JOHN SIMON RICHIE AND US)」から始まるディスク-1は、例えば「愛すべきKIDSのために」とでもサブタイトルを付けたくなる。「俺だって迷う時はあるんだ、心配するな」と歌う一方で、繰り返されるそのタイトルが「人の力を当てにするな、全部自分でやれ」と強く促す「ALL BY MYSELF」。全ての孤独なKIDSたちに、自分たちだけのためのサンクチュアリの在処を告げる「LET’S GO GARAGE」。そして、全てを洗い流す激しい雨は世界が変わる、その始まりなんだと叫ぶ「激しい雨が」。シンプルなビートとストレートな歌詞は迷える10代にとって、とても馴染みやすい指針となることがあったに違いない。そして、その作法も彼らが伝えたいこともずっと変わらないし、例えば東日本大震災の翌年にリリースされたアルバム『JACK&JOKER』からのナンバー「ロックをトメルナ」のように、むしろ時代状況がハードになればなるほど、あるいは人々の気持ちに閉塞感が広がれば広まるほど、そのメッセージは重みを増すように思われる。

 ところで、「THE MODSのイメージを色で言えば何?」と問えば、おそらくは黒と答える人が多いだろう。黒の革ジャンにブーツ、そして背景となる漆黒の闇。あるいは、その闇を切り裂くアラートや差し迫った状況を告げる緊急信号の赤か。つまりは「ハードでシリアス」というイメージに落ち着くことになるのだろうが、そうした側面と同じくらい怖いもの知らずの若さが連れてくる楽天的な考えや未熟であるがゆえの弱さや哀しみに寄り添った歌も彼らはたくさん歌ってきた。そうした楽曲群のエッセンスを凝縮したディスクのように感じられるから、個人的に「愛すべきKIDSのために」なんてサブタイトルを付けたくなるわけで、そのイメージを色で言えば10代の希望も憂鬱も映す青。その意味で、このディスクを代表するのは「TEENAGE BLUE」であり、「BLUE RESISTANCE」であると言ってもいいかもしれない。特に「TEENAGE BLUE」は『RODEO LIVE』や『GO STOP TOUBLE』といったライヴ・アルバムでもピックアップされ、昨年のツアーでも演奏されたライブの人気曲でもある。THE MODSには『BLUE』というタイトルのアルバムもあるけれど、そのアルバムからは「夜のハイウェイ」がこのディスクに収められている。

 もっとも、望む/望まないにかかわらず、ずっと青いままではいられない。というか、このディスクを♪可愛いあの娘までがだんだんBLUEに染まってゆくぜ♪と歌う「LOOSE GAME」で締めくくっているTHE MODSはそんなことは百も承知。彼らがKIDSに贈るおそらくは最も重要なメッセージも、颯爽としたそのロック・チューン「LOOSE GAME」の決めのフレーズだろう。

♪俺は望んでここへここへ来たのさ/このROCKという名のLOOSE GAMEに♪
自分の未来は自分で選ぶ、ということだ。




THE MODS
『SMOKIN’ GUN ~Forever Hits:Fan Edition 45~』

2026年5月27日発売
MHCL31271~4/¥16,500(税込)


<Disc1:Blu-spec CD2>
01.不良少年の詩(SONG FOR JOHN SIMON RICHIE AND US)
2.ALL BY MYSELF
03.LET’S GO GARAGE
04.激しい雨が
05.TEENAGE BLUE
06.ONE MORE TRY
07.GOOD FELLOWS
008.壊れたエンジン
09.SHADE OF THE MOON
10.ロックをトメルナ
11.BLUE RESISTANCE
12.夜のハイウェイ
13.CRAZY BEAT
14.GARAGE WONDERLAND
15.LOOSE GAME

<Disc2:Blu-spec CD2>
01.NAPALM ROCK
02.ゴキゲンRADIO
03.GANG ROCKER
04.他に何が
05.ロメオとジュリエット
06.JUST SAY FUCK NO
07.GO-STOP BOOGIE
08.名も無き者
09.HONEY BEE
10.UNDER THE GUN ~市街戦~
11.崩れ落ちる前に
12.TOMORROW NEVER COMES (WARNING FOR KIDS)
13.BABY BLUE
14.NO REACTION
15.TIME WAITS BY YOUR SIDE
16.ROCKAWAY

<Disc3:Blu-spec CD2>
01.PRISONER (野獣を野に放て)
02.HEY!! TRAVIS
03.SHE’S THE C
04.KID WAS・・・(HANDS UP)
05.TWO PUNKS
06.COME ON DOWN / We are THE MODS
07.バラッドをお前に
08.KILL THE NIGHT
09.今夜決めよう
10.Keep Your Finger Free
11.LIVE WITH ROCK’N’ROLL
12.STAY CRAZY
13.涙のワンウェイ
14.HURRICANE HURRICANE

<Disc4:Blu-ray Disc>
JUNK YARD TOUR ’99@CLUB CITTA’ KAWASAKI(1999/10/25)
01.HONEY HUSH
02.SWITCHBLADE JACK
03.MONDO CHINA
04.READY STEADY GO
05.PRETTY VACUNT
06.壊れたエンジン
07.VIBRATION DRIVE
08.JUST SAY FUCK NO
09.LOOSE GAME
10.TWO PUNKS
-Special Movie-
11.STAY CRAZY
12.HURRICANE HURRICANE




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