2026年5月号|特集 PUFFY
PUFFY 30th Anniversary Live 『One Night Birthday Carnival』
レポート
2026.5.28
取材・文/森朋之
写真/三浦憲治
写真/三浦憲治

PUFFY 30th Anniversary Live 『One Night “Birthday” Carnival』
2026年5月13日 LINE CUBE SHIBUYAデビュー30周年ライヴ『One Night “Birthday” Carnival』。デビューシングル「アジアの純真」がリリースされてちょうど30年、’26年5月31日に行われたバースデーライヴで大貫亜美と吉村由美は、ポップでキュートでロックな“これぞPUFFY!”と快哉を叫びたくなるステージを繰り広げた。
PUFFYの歴代の衣装が展示されたロビーを通り会場に入るとスチャダラパーの「サマージャム’95」が流れている。この日のBGMはこの曲だけ。延々とリピートされる“みんな そそのかされちまう”ですっかりリラックスしたところで客電が落ち、ステージに架けられた幕に映像が映し出される。「これが私の生きる道」のリミックスとともに投影されたのは、30年間の思い出アルバムだ。華やかなムードに包まれるなか、いつものようにHi-STANDARDの「Can’t Help Falling in Love」が鳴り響き、バンドメンバーとPUFFYの2人がステージへ。お祝いモード全開の歓声が広がり、記念すべきライヴの幕が上がる。

1曲目は2009年のシングル「誰かが」。チバユウスケの作詞・作曲によるロックンロールを亜美と由美がエモーショナルに歌い上げ、いきなり心をグッと掴まれてしまう。さらに宮藤官九郎が作詞した「妖怪PUFFY」へ。“向かって上手が亜美だぞ!/向かって下手が由美だぞ!”ではじまるコミカルな自己紹介ソングなのだが、こういう曲を楽しくカッコよく歌えるのはPUFFYしかない。
由美「今日は本当のデビュー日です!」
亜美「ありがとうございます。30年前も渋谷にいたよね」
由美「そこの隣(NHKのスタジオ)で歌ってました。またこうやって渋谷に帰ってこられて……しかもいい具合で“雨のPUFFY”という」
亜美「なんかごめんねって感じ」
由美「まあ、どうせ汗かくから」
亜美「そのためにあるじゃん、物販」
と、30周年ライヴの始まりとは思えないほどのユルいトークを挟み、ここからはPUFFYのカラフルな音楽性をたっぷりと体感できる時間が続いた。
まずは「プリティ・ウーマン」を想起させるギターリフを軸にした「パフィーのツアーメン」。さらに電子オルガンのキャッチーなフレーズに導かれたロックチューン「SUNRISE」、オルタナ経由のバンドサウンドと“リオのカーニバルさながら リー ヅモ チートイ 裏ドラドラ”というフレーズが一つになった「DE RIO」。古き良きポップスやロックンロールに根ざしながら、ポップな捻りを加えた楽曲は聴きやすくてクールなのにどこかヘン。この絶妙すぎるバランスこそがPUFFYなのだなあ、しかもこの二人が歌わないと成立しないんだなあと改めて感心させられてしまった。

新井弘毅(G/THE KEBABS、ex. serial TV drama)、木下裕晴(Ba/ex. L⇔R)、山口美代子(Dr/Bim Bam Boom、ex. Detroit7)、渡辺シュンスケ(Key/Schroeder-Headz, cafelon)による、ポップとエッジがぶつかり合うようなアンサンブルも最高だ。
亜美「こういう大事な日の前の日、何してた」
由美「えっと、成城石井に行って……」
亜美「私は玄米炊いたんだけど、大量のスジコとタラコを食べて」
由美「大したことしてないね」
というさらにユルいトークから、「20周年の野音に来ましたよ、って人は?」と観客とコミュニケーションを取る2人。台湾から来たお客さんに対してすかさず現地の言葉で語り掛ける。さすが、海外ツアーをやりまくってきただけはある。
母親目線の歌詞をカラフルに歌うPUFFY流の子育てソング「CHOEGOIST」、“BUDDY, YOU’LL BE HERE WITH ME”というラインが2人の関係を表しているようでグッと来てしまう「ナイスバディ」、そして、ゆったりと濃密なグルーヴのなかで夏のまったりした空気をまとった歌が広がる「プールにて」とバラエティに溢れた楽曲を重ねていく。「『Road to 30』というライヴをやってきたんですけど、今日はその時とは違う、一夜限りのライヴにしたくて」(亜美)というコメント通りのスペシャルなステージだ。
ここでゲストの奥田民生が呼び込まれる。「俺はまだ40年経ってないのよ。変わらんよね、芸歴が」「でもさあ、30年って、恥ずかしくない?」といきなりぶっこむ奥田。
奥田「だってさ、還暦のライヴ想像してみて」
由美「それはできないかも」
亜美「怖い(笑)」
奥田「そのときはお客さんとかもえらいことになってるからね」
亜美「なんでそんな盛り上がらない話を……」
奥田「いや、僕ね、がんばってましたよ。自分の才能を惜しみなく注いで。いい曲いっぱいあるよね」
と気の置けないやり取りを挟み「パフィーのHey!Mountain」へ。この曲の歌詞はPUFFYと奥田の共作。道に迷った女の子2人が地元の人に“若い娘がこんなところで危ないですよ”と話しかけられるというストーリーを奥田とPUFFYがゆったりと歌い上げる。“テンポが遅い「Get Back」”と言いたくなるノリも楽しい。

続いて3人がステージ中央のソファに座り、奥田とPUFFYセッション。披露されたのは’96年の2ndシングル「これが私の生きる道」。歌とアコギだけのシンプルな演奏によって、コードワークの巧みさ、メロディとハーモニーの良さが真っ直ぐに伝わってきて、まるで初めて聴いたときのように「うわ、めちゃくちゃいい曲だ!」と驚いてしまった。亜美と由美のハーモニカのソロも、歌心を感じさせるとてもいい演奏だった。最後は「誰がそれを」。こういうフォーキーかつサイケデリックな味わいもまた、PUFFYの魅力。「キーを合わせてくれるときは、ああやって民生さんがギターを弾いてくれたり」(亜美)「日常っぽい感じをみなさんに見てもらえてよかったです」(由美)としみじみ語る姿も印象的だった。

ギタリストのmasasucks(ELLEGARDEN)が加わり、「君とオートバイ」からライヴは後半へ。「JOINNING A FAN CLUB」「モグラライク」「Tokyo I’m On My Way」とアッパーチューンを続け、会場のテンションを気持ちよく引き上げていく。興奮のピークを生み出したのは、「渚にまつわるエトセトラ」。極上のディスコサウンドとともに亜美と由美はステージの端から端まで動き、観客と直接コミュニケーションを取る。“カニ 食べ 行こう はにかんで 行こう”からはじまるサビのフレーズはもちろん大合唱。この楽曲のハッピーな解放感をまざまざと見せつけられた。さらに「愛のしるし」も。名曲&代表曲の連打にオーディエンスも全力で声援を送りまくった。

由美「楽しい時間を過ごさせていただきました。30年も続くと思ってなかったですし、すごく楽しかったので今も続けているんだと思います」
亜美「1人だったら続けてこれなかったし、2人でやってこれてよかったなと思ってます」
由美「形は変わっていきますが、いい距離感のまま、関係性がより深くなったんじゃないかなと」
“30年”に向けた思いを言葉にした後は、志村正彦が作詞・作曲を手がけた「Bye Bye」。別れをテーマにした詩情あふれる歌が広がり、会場は豊かな感動で包まれていった。
アンコールはもちろん「アジアの純真」。シンフォニックなロックサウンドとナンセンスなポップ感が生み出す化学反応は、30年経った今も驚くほどに斬新。瑞々しさに満ちた二人のヴォーカルもビックリするほど変わっていない。奥田民生はローランドのアナログシンセで響かせるヴォコーダーヴォイスもかっこいい!
最後は、PUFFYがいちばん最初にレコーディングした楽曲「とくするからだ」。“見事な人になりましょう カンペキにしましょう”というポジティヴなフレーズとともにライヴは大団円を迎えた。

ここで映像が始まったので、次なるアクションの告知か?! と思ったら、映し出されたのはなんと亜美のカラオケ。薬師丸ひろ子の「探偵物語」を歌って100点を出せるか? という企画なのだが、結果は見事に失敗。「なんもおもろない。もうやめたい」(亜美)「ダメ」(由美)というやり取りを含め、なんともPUFFYらしいエンディングだった。
最初から最後まで“らしさ”全開だった30周年の誕生日ライヴ。PUFFYにしか生み出せないポップワールドをもっともっと体感したい。会場に足を運んだオーディエンスは全員、そう強く思ったはずだ。

(完)
↑PUFFY選曲による30周年記念アナログ盤『30th Anniversary』5月13日発売!↑