2026年5月号|特集 PUFFY
①『amiyumi』|PUFFY全アルバム
レビュー
2026.5.1
文/油納将志

PUFFY
『amiyumi』
1996年7月22日発売
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01. とくするからだ
02. ウサギチャンネル
03. サクラサク
04. Simple
05. 長生きしてね
06. アジアの純真
07. パフィーのHey!Mountain
唯一無二のテクスチャーを作り出す独特のゆるさと強さの同居
大貫亜美と吉村由美、それぞれが別々のオーディションでソニー・ミュージックアーティスツの門を叩き、事務所の中で出会って組んだ企画ユニットが、この1枚をもって世に送り出された。全7曲、収録時間は約30分。この引き算の美学を体現したような構成自体が、当時のJ-POPの文法とは異質な何かを帯びていた。
サウンドの核心にあるのは、奥田民生が合宿レコーディングの場でふたりに厳しく課したヴィブラートを排した、飾らない直声での歌唱だ。小室哲哉サウンドに代表されるデジタル処理とシンセサイザーが市場を席巻していた’96年において、生バンドの質感をそのまま封じ込めた本作の音像は、時代に意図せず背を向けるかたちとなった。ふたりの声が重なり合うユニゾンは上手い歌手のそれではなく、むしろ素のまま並走することで生まれる独特のゆるさと強さの同居が、唯一無二のテクスチャーを作り出している。
収録曲を辿ると、奥田の作家的な引き出しの多さが際立つ。CMタイアップで先行的に耳に馴染んでいた「とくするからだ」と「サクラサク」は、それぞれポップなロックンロールと歌謡テイストのメロディという異なるアプローチを取りながら、奥田節とふたりの声が自然に溶け合っている。「ウサギチャンネル」を亜美が、「長生きしてね」を由美がひとりで歌う構成は、デュオの同一性を強調しつつ個性の差異を覗かせる巧みな設計だ。唯一の外部制作曲「Simple」は、SPARKS GO GOの八熊慎一が書いた疾走感あるナンバーで、アルバムに軽やかなリズムの変化をもたらしている。
後半に差し掛かると、本作の真の重心が浮かび上がる。「アジアの純真」は、詞を井上陽水が手がけたことで、奥田の作曲と陽水の言語感覚というふたつの個性が衝突・融合。地名の固有名詞を羅列するシュールな歌詞は従来の歌謡的情緒を持たず、それゆえにメロディの中毒性だけが際立って耳に刺さる。アルバム・ヴァージョンはシングルよりも余白を広く取ったアレンジで、楽曲のスケール感が増している。そして「パフィーのHey!Mountain」は、奥田自身の既存曲をそのままふたりに歌わせるという自己引用の遊びで幕を下ろす。笑いのような、照れのような、このラストの温度感が、アルバム全体の色を決定している。
↑PUFFY選曲による30周年記念アナログ盤『30th Anniversary』5月13日発売!↑
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②solosolo(Disc1)|PUFFY全アルバム
レビュー
2026.5.7