2026年5月号|特集 PUFFY

❶アジアの純真|LP『30th Anniversary』全曲解説

スペシャル

2026.5.1

文/池上尚志


アジアの純真


作詞:井上陽水
作曲・編曲:奥田民生

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 PUFFYがデビュー30周年を迎えた。なんと亜美由美の二人が揃って50歳を超えているのである。ある意味、生きるゆるキャラ的な存在の二人が年を取っているのが不思議だし、しかし、最近の写真を見ても年齢不詳。そのゆるふわ感がまたPUFFYらしい。

 今回はデビュー30周年を記念して、新たなベスト盤がアナログ盤でリリースされることとなった。その名も『30th Anniversary』とド直球。A面はデビューから2000年まで。B面はアメリカ進出以降の曲が並んでいる。アナログ盤とはいえ、30年を12曲でというのは曲数が足りないが、今の視点から見た本当のエッセンスの12曲と考えてもいいだろう。その収録曲を解説していこう。

 1曲目は、世の中に衝撃を与えた、奥田民生プロデュースによるデビュー曲。“北京 ベルリン ダブリン リベリア”という歌い出しのインパクト。その後に続く言葉も謎が謎を呼ぶ、意味不明なワードの連続。井上陽水の作詞なら何か意味があるんじゃないか、いや陽水だからこそ意味などない。様々な憶測と解読が試みられたが、実際のところは、奥田民生がデタラメ英語的な感じで“北京 ベルリン~”と歌ったのを陽水が面白がったただけ、というのが真相のようだ。それを歌ったのが亜美と由美の二人だったというのも、偶然というか必然というか。この二人の全ての意味を無効化してしまうようなタリラリラーンとした脱力感が見事にハマった。

 もう1つ、民生のプロデュースが凄かったのは、亜美と由美の歌をユニゾンで完全にシンクロさせたことだ。通常のユニゾンは少しズレるところに面白さがあるものだが、逆転の発想で、ビブラートを排して二人の声を完全に混ぜたことで、これがPUFFYの個性となった。これはジョン・レノンの“アーティフィシャル・ダブル・トラッキング”(注:1度の録音で2重録音したときと同じ効果を作り出す録音テクニック。ジョン・レノンの要望で開発された。)の効果をイメージしたのではないだろうか。

 民生の作曲も、キーが分かりにくいメロディの乗せ方や、トリッキーなクリシェ・ラインなど、かなり難易度の高いもので、これを二人でシンクロさせて歌うのはかなり大変だっただろう。民生が作ったPUFFYの曲には何か元ネタがありそうだと探してしまうが、サビの後半にローリーがやりそうなブライアン・メイ風のギター・オーケストレーションが聴き取れる。ちなみに、陽水と民生がライヴで歌ったヴァージョンでは、イントロでほんのりとビートルズ「While My Guitar Gently Weeps」が香る。

 週間ランキングでは3位止まりだったが、ミリオンセラーで年間15位というロングヒットとなった。



↑PUFFY選曲による30周年記念アナログ盤『30th Anniversary』5月13日発売!↑