2026年4月号|特集 ナイアガラ2026
【Part3】伊藤銀次スペシャル・ロング・インタビュー|伊藤銀次が語る『NIAGARA TRIANGLE Vol.1』
インタビュー
2026.4.15
インタビュー・文/荒野政寿 写真/島田香

(【Part2】からの続き)
伊藤銀次に『NIAGARA TRIANGLE Vol.1』までの道のりを改めて詳しく訊くインタビュー、第3回はココナツ・バンク解散後に参加したふたつのバンド、シュガー・ベイブとバイ・バイ・セッション・バンドに焦点を当てる。福生を出て都心へ引っ越し、新しいサウンドの潮流へと飛び込んで行った20代前半から半ばにかけての時期。はっぴいえんどやごまのはえが甚大な影響を受けたカントリー・ロックは早くも過去のものとなり、ソウルやファンクの影響を反映しながら、今で言う“シティ・ポップ”的な洗練されたサウンドが芽生え始めていた。
多忙を極めるスタジオミュージシャンたちの中でも、あの才能は特別でした。ああいうタイプの人は、それまで僕たちのジャンルにいなかったんですよね(銀次)
── ココナツ・バンクが解散してから、大滝詠一さんも銀次さんのこれからを気にかけていたと思うんですよね。
伊藤銀次 大滝さんには申し訳ないと思ってました。せっかく東京へ呼んでくれたのに、結局おじゃんになってしまって。そのまま大滝さんのそばにいてお手伝いをしたいと思ったりもしたんですけど、大滝さんは面倒見がいいので、僕は絶対に甘えちゃうと思ったんです。きっと大滝さんのカバン持ちみたいになっちゃうと思って。
少なくとも東京に出てくるチャンスを与えてくれたことに対して大滝さんには大感謝で、それ以上何も望まない。ここからは自分で道を切り開いていくしかないと思ったんですよ。もう大阪に帰る気はなかったので、ひとりで何とかしなきゃいけないと思っていた頃に……僕がラッキーだったのは、矢野誠さんとか松任谷正隆君が、スタジオミュージシャンとしての仕事で声をかけてくれるようになって。福生の家から銀座の音響ハウスとか、田町のアルファスタジオまで片道1時間半以上かけて通ってました。
CMの曲だったら1時間ぐらいでセッションが終わっちゃうんですけど。夜遅くなると福生に帰れないんですよ。細野晴臣さんたちと何かのセッションをやった帰りに、電車がなくなっちゃって。その時シュガー・ベイブもコーラスで来ていて、彼らをマネージメントしていた長門芳郎君が、「銀次、帰れないんじゃないの? うちの事務所に泊まりなよ」と言ってくれて、シュガー・ベイブが所属していた笹塚のテイク・ワンに泊まらせてもらいました。それが縁で、僕は福生から笹塚へ移ってきて、テイク・ワンで居候しながら、みんなが留守の時は電話番をやることになるんです。
「ザ・キング・トーンズが15周年記念アルバムを作るから、曲を書かないか」と声がかかったのもその頃で。テイク・ワンが入っているビルに住んでいたエンジニアの矢崎芳博さんにデモ作りを手伝ってもらって、山下達郎君と「DOWN TOWN」「遅すぎた別れ」「愛のセレナーデ」を共作する流れになっていくわけです。ご存じの通りアルバムのリリースは流れてしまって、「DOWN TOWN」はシュガー・ベイブ、「遅すぎた別れ」は『NIAGARA TRIANGLE Vol.1』で僕と山下君、「愛のセレナーデ」はフランク永井さんのヴァージョンで世に出るんですけど。

シュガー・ベイブ
『SONGS 50th Anniversary Edition』
2025年4月23日発売(オリジナル1975年4月25日発売)
── そしてシュガー・ベイブがアルバム『SONGS』をリリースした直後、バンド強化のために銀次さんが加入する。しかし、短期間で脱退することになりましたね。

伊藤銀次 (いとう・ぎんじ)
●1950年12月24日、大阪府生まれ。1972年にバンド“ごまのはえ”でデビュー。その後ココナツ・バンクを経て、シュガー・ベイブの’75年の名盤 『SONGS』(「DOWN TOWN」は山下達郎との共作)や,大瀧詠一&山下達郎との『NIAGARA TRIANGLE VOL.1』(’76年)など,歴史的なセッションに参加。’77年『DEADLY DRIVE』でソロ・デビュー。以後、『BABY BLUE』を含む10数枚のオリジナル・アルバムを発表しつつ、佐野元春、沢田研二、アン・ルイス、ウルフルズなど数々のアーティストにプロデュースやアレンジで関わる。『笑っていいとも!』のテーマ曲「ウキウキWATCHING」の作曲、『イカ天』審査員など、多方面で活躍。最新ベスト『GOLDEN☆BEST 伊藤銀次 ~40th Anniversary Edition~』5月27日発売。
Official Website : https://ginji-ito.com/
https://x.com/Ginji_Ito_Offic
伊藤銀次Digital Single Works 2025-2026

伊藤銀次
「Good Night Bangkok」
2025年12月10日発売

伊藤銀次
「Thank U for the Good Time」
2026年1月26日発売

伊藤銀次
「花火の音が」
2026年2月26日発売

伊藤銀次
「April Dancer」
2026年4月8日発売
山下達郎・伊藤銀次・大滝詠一『NIAGARA TRIANGLE Vol.1 50th Anniversary Edition』Trailer Part2
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