2026年4月号|特集 ナイアガラ2026
【Part2】伊藤銀次スペシャル・ロング・インタビュー|伊藤銀次が語る『NIAGARA TRIANGLE Vol.1』
インタビュー
2026.4.7
インタビュー・文/荒野政寿 写真/島田香

(【Part1】からの続き)
ナイアガラ・トライアングル『NIAGARA TRIANGLE Vol.1』の背景を掘り下げる、伊藤銀次インタビューの第二回は、初回に続いてごまのはえ~ココナツ・バンクの歴史を改めて振り返る。ベルウッドから出るはずだった「大滝詠一プロデュースによるごまのはえファースト・アルバム」の構想は、はっぴいえんど解散の時期と重なって次第に変容。大胆なメンバーチェンジを経てココナツ・バンクへと生まれ変わったバンドは、ナイアガラからデビュー・アルバムをリリースする可能性があったが、思わぬところで歴史にピリオドを打つことになる。その紆余曲折の歴史を、バンドリーダー自身に詳しく語ってもらった。
大滝さんは本当に厳しくて、ギターなんて何回弾いてもなかなかOKがもらえませんでしたし。ほめられたことは本当に少なかったです(銀次)
── ごまのはえのメンバーチェンジ案は、大滝詠一さんからどのように伝えられたんですか?
伊藤銀次 大滝さんはベースの角谷安彦君を、細野晴臣さんと比べてたんですよ(笑)。
── それは……いくらなんでもハードルが高すぎますよね。
伊藤銀次 ええ。それで、角谷君はどうも小坂忠さんに気に入られているみたいだから、「狭山の方へトレードに出したらどうだ」ということになりました。ヴォーカルの末永博嗣君は「歌よりマネージャーの方が向いてる」と。言われてみると、確かにそうなんですよ。それで、「君は曲を書いてるんだから自分で歌え」と言われて。それまでキーボードを担当していた藤本雄志君は、実に才能豊かな人でね。センスが良くて、ギターもうまいし、ベースも弾けるし、ドラムも叩ける。「じゃあ、彼をベースにコンバートさせよう」と。センターの選手をセカンドにしちゃうようなもんですよ(笑)。
それで、僕がリードヴォーカルを取るようになると、リードギターと歌を両方やるのは難しいだろうと。ちょうどその頃、布谷文夫さんのレコーディングに駒沢裕城君が来て、ドブロみたいなギターでローウェル・ジョージのようなフレーズを弾いたんです。これはいいと思ってね。大滝さんの提案で、駒沢君は当時はちみつぱいにいたので、掛け持ちということでバンドに加わってもらって、僕とドラムの上原ユカリ(裕)君、藤本君、駒沢君で、4人のココナツ・バンクが始まりました。僕はバンドのリーダーとして、やめていくメンバーを守れなかった。でも、もしもここで僕がメンバーチェンジを「No」って言ったら、大滝さんはプロデュースをやめますよね。そうしたら、すぐに大阪へ帰らなきゃいけなくなる。
そもそも大阪に出てくる時に一番乗り気だったのは僕なんですよ。環境的にも、レコード会社は当然東京に集まっているし、大阪にはまだライヴハウスはなくて演奏できる場所が限られていました。東京では10円コンサートとか、いわゆるウッドストック的なコンサートがよく行われていてね。音楽雑誌を見ながら「いいな、東京は」なんて思ってたんです。大阪で活動を続けていても、「良いね」と言ってくれる人はいたけれど、なかなか何も起こらない。「俺たちっていけてんのか? このまま続けていていいのか?」っていうのが、大阪にいてもよくわからないんですよね。僕は早く結論が欲しかった。良いなら良いと言って欲しかったし、ダメならダメでやめちゃおうと思ってましたから。

── ごまのはえがメンバーチェンジを経てココナツ・バンクに変わってからも、アルバム・デビュー計画は続いていて、そこへ向けて準備が進められていたんですよね?

伊藤銀次 (いとう・ぎんじ)
●1950年12月24日、大阪府生まれ。1972年にバンド“ごまのはえ”でデビュー。その後ココナツ・バンクを経て、シュガー・ベイブの’75年の名盤 『SONGS』(「DOWN TOWN」は山下達郎との共作)や,大瀧詠一&山下達郎との『NIAGARA TRIANGLE VOL.1』(’76年)など,歴史的なセッションに参加。’77年『DEADLY DRIVE』でソロ・デビュー。以後、『BABY BLUE』を含む10数枚のオリジナル・アルバムを発表しつつ、佐野元春、沢田研二、アン・ルイス、ウルフルズなど数々のアーティストにプロデュースやアレンジで関わる。『笑っていいとも!』のテーマ曲「ウキウキWATCHING」の作曲、『イカ天』審査員など、多方面で活躍。最新ベスト『GOLDEN☆BEST 伊藤銀次 ~40th Anniversary Edition~』5月27日発売。
Official Website : https://ginji-ito.com/
https://x.com/Ginji_Ito_Offic
伊藤銀次Digital Single Works 2025-2026

伊藤銀次
「Good Night Bangkok」
2025年12月10日発売

伊藤銀次
「Thank U for the Good Time」
2026年1月26日発売

伊藤銀次
「花火の音が」
2026年2月26日発売

伊藤銀次
「April Dancer」
2026年4月8日発売
山下達郎・伊藤銀次・大滝詠一『NIAGARA TRIANGLE Vol.1 50th Anniversary Edition』Trailer Part2
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