2026年4月号|特集 ナイアガラ2026
Disc-1(CD)①ドリーミング・デイ[feat. 山下達郎]|山下達郎・伊藤銀次・大滝詠一『NIAGARA TRIANGLE Vol.1 VOX』 楽曲解説
解説
2026.4.1
文/油納将志

山下達郎・伊藤銀次・大滝詠一
『NIAGARA TRIANGLE Vol.1 VOX』
Disc-1(CD)
①ドリーミング・デイ[feat. 山下達郎]
作詞:大貫妙子/作曲・編曲:山下達郎
Dreaming Dayの始まり、ナイアガラ・サウンドの記念碑的1曲
『NIAGARA TRIANGLE Vol.1』は、この「ドリーミング・デイ」で静かに、しかし確信を持って幕を開ける。1975年11月から始まったレコーディングでも最初に取り組まれたというこの曲は、山下達郎が福生45スタジオで大滝詠一のもとに通い続けた歳月の産物だ。大滝のもとで吸収したアメリカン・ポップスへの深い傾倒と、それを日本語に昇華しようとする意志、その2年半の蓄積が、最も純度高くかたちになったのがこの楽曲だと言えるだろう。
そのサウンドはきわめて豊潤だ。ドラムに上原裕、ベースに寺尾次郎、そしてキーボードには坂本龍一を擁し、ホーン・セクションには稲垣次郎Sectionを配置。コーラスは山下達郎と吉田美奈子のふたりが務め、緻密でスウィートなハーモニーが楽曲に芳醇な奥行きを与えている。クレジットには「Dedicated to Clyde Mcphatter, Dion, Dells」の一文も刻まれており、山下の音楽的ルーツへの真摯な敬意が滲み出ている。
一方で歌詞を手がけた大貫妙子の言語感覚も、この曲を唯一無二たらしめる要因のひとつだ。シュガー・ベイブ時代から相互に刺激し合ってきた山下と大貫のクリエイティヴな関係性が、「ドリーミング・デイ」という詩的でポップなタイトルに象徴される独自の世界観を生み出した。アレンジの隅々にまで宿るアメリカン・ドゥーワップやソウルへの愛着と、それを日本語のポップスとして着地させる際の洗練されたバランス感覚、その融合こそが、本作をナイアガラ・サウンドの記念碑的な1曲たらしめている。
なお、13曲目に収録された「ドリーミング・デイ(シングル・バージョン)」は、'76年4月1日リリースのシングル「幸せにさよなら/ドリーミング・デイ」のB面として世に出たヴァージョン。アルバム版と比較するとイントロの一部がカットされ、フェイド・アウトも早く終わる。

山下達郎・伊藤銀次・大滝詠一
『NIAGARA TRIANGLE Vol.1 50th Anniversary Edition』
2026年3月21日発売
山下達郎・伊藤銀次・大滝詠一『NIAGARA TRIANGLE Vol.1 50th Anniversary Edition』Trailer Part2
NIAGARA TRIANGLE 「パレード」 オフィシャル・トレーラー