2026年3月号|特集 日本シンセサイザー音楽の曙

㉑山口美央子『月姫』|日本シンセサイザー音楽名盤21

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レビュー

2026.3.31


山口美央子
『月姫』

1983年3月21日発売

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01. 夕顔―あはれ―
02. 夏
03. 沈みゆく
04. 鏡
05. 白昼夢
06. 月姫(Moonlight Princess)
07. さても天晴(あっぱれ) 夢桜
09. 恋は春感(しゅんかん)




しなやかで耽美的な和風シンセ・ポップの名盤


 後に卓越したポップス系ソングライターとしても活躍することになる山口美央子がキャニオン・レコードからリリースした三枚目のアルバム。当時、「シンセの歌姫」なる異名があったことからも分かるように、テクノ・ポップの系譜を継ぐ存在である一方で、フュージョンやシティ・ポップ、更にはアンビエントやニューエイジ等、ごく複合的な要素を巧みに消化したその作風は、まさにハイブリッド。特に、「さても天晴れ 夢桜」をはじめところどころに滲む「和」の風味は、まさに「ジャポネスク」という形容が相応しいもので、初期YMOが実践してみせたセルフ・オリエンタリズム的戦略を想起させつつも、彼らよりも更にしなやかで耽美的なイメージを喚起する。このあたりのイメージを具現化するにあたっては、サウンド・プロデュースを担当した土屋昌巳の手腕によるところも相当に大きかったはずだ。

文/柴崎祐二



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