2026年3月号|特集 日本シンセサイザー音楽の曙

⑰細野晴臣『フィルハーモニー』|日本シンセサイザー音楽名盤21

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レビュー

2026.3.25


細野晴臣
『フィルハーモニー』

1982年5月21日発売

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01. ピクニック
02. フニクリ、フニクラ
03. ホタル
04. プラトニック
05. リンボ
06. L.D.K
07. お誕生会
08. スポーツマン
09. フィルハーモニー
10. エア・コン



精密な音響構築、洗練されたハーモニー、鋭いユーモア


 YMO存続中に制作/リリースされた通算6枚目のソロ・アルバムにして、高橋幸宏と共同でアルファ内に立ち上げた新レーベルYENの第一弾リリース作。その高橋や加藤和彦、立花ハジメ他、様々なゲストが参加しているが、サウンドの構造としてはあくまで電子楽器をメインとしたセルフ多重録音作であり、それ故にある種の密室性を濃厚に漂わせている。最初期のサンプラーであるEmulatorをはじめ、Linn DrumやMC-4、そしてProphet-5が駆使され、まるで細野の脳内に鳴っている音が具象化されているかのような印象を抱かせる。加えて本作は、東京江戸川橋に新設されたLDKスタジオで入念に作り上げられた作品でもあり、(各曲のタイトルにも示唆されているように)当時の細野自身の生活感覚を想起させるようなプライベートな質感も強い。そういった点においても、後のDTM全盛時代における内向的な電子音楽作家像を先取りしていたように感じられる。

文/柴崎祐二



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