2026年3月号|特集 日本シンセサイザー音楽の曙
【Part3】日本シンセサイザー音楽ヒストリー
解説
2026.3.16
文/小暮秀夫

(【Part2】からの続き)
Part3:テクノポップ/ニューウェイヴの時代
日本のシンセサイザー音楽の歴史において、’78年は「テクノポップ前夜」と呼ぶべきエポックメイキングな年であった。後にイエロー・マジック・オーケストラ(YMO)を結成する三人の音楽家――細野晴臣、高橋幸宏、坂本龍一――が、それぞれ重要なソロ作品を発表し、日本のポピュラー音楽における電子音の未来像を提示したからである。
まず4月25日、細野晴臣がアルバム『はらいそ』を発表した。これは『トロピカル・ダンディ』(’75年)、『泰安洋行』(’76年)に続く「トロピカル三部作」の完結編であり、西洋から見た東洋とでも言うべきエキゾティシズムを、日本人の視点から再構築した無国籍サウンドが展開されていた。この発想は後のYMOのコンセプトにもつながっていく。このアルバム制作時、細野の頭の中にはある構想が浮かんでいた。それは、エキゾチック・ミュージックの巨匠マーティン・デニーの楽曲「ファイヤークラッカー」をシンセサイザーでディスコ化し、世界的ヒットを狙うというアイデアであった。その構想を語った相手が、『はらいそ』収録曲「ファム・ファタール~妖婦」のレコーディングに参加していた高橋幸宏と坂本龍一である。二人はその発想に共鳴し、プロジェクトへの参加を決める。こうして誕生したのがイエロー・マジック・オーケストラ(YMO)であった。

細野晴臣
『はらいそ』
1978年4月25日発売
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