連載|伊波真人のシティポップ短歌

今月のお題「久保田早紀 / エアメール・スペシャル」

2026.3.16

今月のお題

久保田早紀/ エアメール・スペシャル1981年


デビュー曲「異邦人」の大ヒットによってエキゾチックなイメージがあるが、本来の久保田早紀はオーセンティックなポップスも歌えるシンガー・ソングライターである。この4作目のアルバムは、ウェストコースト・ロック風の先行シングル「オレンジ・エアメール・スペシャル」からわかる通り、イメージチェンジを図った転換期と言える。とりわけシティポップとして評価が高まるグルーヴィーな「キャンパス街’81」や、ファンクのテイストを感じさせるクールな「アンニュイ」といったナンバーからは、彼女の才能の深さを感じられるだろう。萩田光雄、佐藤準という2人の職人が手掛けたアレンジも見事だ。

薄暗い窓のむこうに灯るのは もう届かない君との月日薄暗い窓のむこうに灯るのは もう届かない君との月日




伊波真人(いなみ・まさと)

歌人。1984年、群馬県高崎市生まれ。早稲田大学在学中に短歌の創作をはじめる。2013年、角川短歌賞受賞。ポップスの作詞家としても活動中。ラジオ、トークイベントへの出演なども行う。音楽への親しみが深く、特にシティポップ、AORの愛好家として知られる。著書に、歌集『ナイトフライト』などがある。2026年5月29日に第二歌集『ブルーアワー』(帯文:伊藤銀次)が刊行。