2025年12月号|特集 佐野元春 CHRISTMAS TIME IN BLUE

【Part3】「CHRISTMAS TIME IN BLUE ー聖なる夜に口笛吹いてー」誕生前夜❶|CHRISTMAS TIME IN BLUEストーリー 

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解説

2025.12.15

文/小川真一


【Part2】からの続き)

1983年、単身渡米、『NO DAMAGE』発表



 佐野元春がどのような道のりを経て「CHRISTMAS TIME IN BLUE ―聖なる夜に口笛吹いて―」を生み出すに至ったのか。その答えに近づくには、まず彼がそれ以前に歩んできた創作の過程を振り返る必要がある。そうした前史をたどっていくことで、この名曲の背景に横たわる考えや時代の空気が、より立体的に浮かび上がってくるはずだ。

 まずは『NO DAMAGE(14のありふれたチャイム達)』がリリースされた’83年まで時間を巻き戻そう。佐野にとって初めてのコンピレーション・アルバムであるこの作品集は、単なる既発曲の寄せ集めではない。デビュー以降の三年間で形成された自身の作家性を再編集し、明確なコンセプトのもとに構築し直した作品だった。佐野はこの時期、ニューウェイヴ以降の都市的感性と、60〜70年代的なロック/ポップの語法を統合しつつあり、その経過点に位置するのがこのコンピレーションだと言える。

 A面を“Boy’s Life Side”、B面を“Girl’s Life Side”と名づけて構成した点にも、当時の佐野が志向したテーマ性が端的に現れている。前者では都市に生きる若者像や男性的視点からの語りを配し、後者では女性をめぐる心象風景や人間関係の陰影を扱うという、明確な両軸が設計されていた。

 A面の最初に置かれた「スターダスト・キッズ」は、オリジナル・アルバム未収録の’82年リメイク・ヴァージョンで、サウンド面でのブラッシュアップが図られている。たとえばリズム・セクションのタイトさやコーラス処理の整理など、初期の粗さを補い当時のバンドの成熟度を反映するような改修が行われている。



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