2025年8月号|特集 TUBE
【Part3】1990-1995:絶頂~90年代のCDミリオン時代に共鳴|TUBE Stories 1985-2025
解説
2025.8.15
文/小川真一

【Part2】からの続き)
セルフ作詞曲、新フレイヴァー導入、チャート大躍進の充実デビュー10年!
夏を制覇したTUBEの90年代は「あー夏休み」のヒットで始まった。この曲は異色ずくめだった。’86年の「シーズン・イン・ザ・サン」以来、TUBEのシングルといえば、カタカナかアルファベットと決まっていたのだが、この曲は日本語。「あー夏休み」というタイトルそのものも、それまでの彼らのイメージとはどこか違っている。
さらにそれだけでなく、イントロからラテン・パーカッションが鳴り響き、哀愁のこもったギター・フレーズが飛び出してくる。こんなサウンド・アプローチは、これまでのTUBEにはなかった。

TUBE(1990年)
この「あー夏休み」の誕生には、いろいろなエピソードが残っている。最初は、恒例となったTUBEの夏シングル(発売は春頃)の候補として、レコーディング中だった新曲の「N・A・T・S・U」と「THE SURFIN’ IN THE WIND」(ともに6月発売のアルバム『N・A・T・S・U』に収録)を用意していた。この2曲をプロデューサーの長戸大幸に聞かせたところ、彼は首を縦にふらなかった。
長戸いわく「これじゃ織田哲郎や亜蘭知子の曲にかなわない」「人からの影響で作ったようにしか聞こえない」。そうしてNGを出すとともに、自分でギターを手にとって歌い出したのだ。それはマイナーな曲調で、それまでのTUBEからは出てきそうもない旋律だった。TUBEの面々は、長戸の曲にインパクトを感じたものの、すぐさま彼のアイデアを受け入れることは出来なかったという。
前田亘輝と春畑道哉が悩みに悩んだ末に作り上げたのが、「あー夏休み」だった。決めの歌詞も“Oh! Summer Holiday”を考えていたのだが、日本語で“あー夏休み”にしたら、すぐに長戸からOKサインが出たという。このようにしてTUBEのブランニュー・スタイル「あー夏休み」が完成したのだ。
とはいえ、この曲を自分たちの新しいシングルにすることに納得がいかず、事務所との方向性の違いを憂慮し解散まで意識したという。クレジットも、「これはハル(春畑道哉)の曲でしょう」とどちらを作曲者にするか、譲り合ったという話が残っている。こんなことはそれまで一度もなかったのだが、最終的に“作曲:春畑道哉・前田亘輝”と両者を分け合う形に落ち着いた。この「あー夏休み」はJTから発売になった<SomeTime LIGHTS>のCMソングに起用され、累計20万枚を超えるヒットとなった。
この騒動は長戸大幸からTUBEへのエールであり、愛の鞭でもあったと思う。前田亘輝と春畑道哉のソングライター・チームなら新しいことができるはずだ。彼らの才能を見込んでの挑戦であったのだ。マンネリに埋没しない、いつもフレッシュなTUBEの起点となったのが、この「あー夏休み」だった。

TUBE
「あー夏休み」
1990年5月21日発売
作詞:前田亘輝/作曲:春畑道哉・前田亘輝/編曲:TUBE

◎TUBE 40周年記念コラボレーション・アルバム!
TUBE 『TUBE×』
(読み:チューブ・カケル)
2025年8月6日発売

◎TUBE初のオールSinglesベストアルバム“Blue”盤[1985-1999]
TUBE 『All Singles TUBEst -Blue-』
2025年6月11日発売

◎TUBE初のオールSinglesベストアルバム“White”盤[2000-2025]
TUBE 『All Singles TUBEst -White-』
2025年6月11日発売
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