2025年7月号|特集 女性アイドル1985

Part4|女性アイドル1985ストーリー

会員限定

解説

2025.7.28

文/馬飼野元宏


【Part3】からの続き)

Part4:アイドルシーンの大きな分水嶺となった1985年を多角的に総括


 1985年のアイドルシーンで異彩を放っていたのは、新進気鋭のニューミュージック、シティ・ポップのアーティストたちによる楽曲作りであった。

 ここで注目したいのは、南野陽子の作家陣である。担当ディレクター・吉田格のインタビューにある通り、作家の選択には他の新人アイドルと明確な差別化が行われている。デビュー作の「恥ずかしすぎて」こそ、都倉俊一の作曲だが、これは南野が当時、都倉の事務所に所属していたことからの選択である。それ以降の作品では、作曲に木戸やすひろ、岸正之、亀井登志夫、柴矢俊彦、国安わたるら新進気鋭のシティ・ポップ系シンガー・ソングライターや、バンド経験者を中心にチョイス。作詞も康珍化を除いては戸沢暢美、小倉めぐみといった新進の作詞家を起用。著名だったのは、ブレイク作となった2作目「さよならのめまい」を書いた来生えつこ&たかお姉弟と、すでに歌謡曲畑でも活躍していた康珍化ぐらいで、この2組とて、歌謡曲色の薄い作家でもあった。


南野陽子
「接近(アプローチ)」

1986年10月1日発売

 この選択肢には、南野陽子の世界観を、松任谷由実や竹内まりやといった女性シンガー・ソングライターの描くライフスタイルに近い、その少女版的なものに寄せていったことがあるだろう。そして、アレンジャーだけはベテランの萩田光雄を起用し。弦アレンジの上手い萩田の作るゴージャスかつ、歌を立てるセンシティヴなアレンジが、彼女の上品なお嬢様イメージを伝えるのに、大きく貢献している。