2025年7月号|特集 女性アイドル1985

Part3|女性アイドル1985ストーリー

会員限定

解説

2025.7.22

文/馬飼野元宏


(【Part2】からの続き)

Part3:アイドルのキャラクターによって書き分けた作家とアレンジャーの傾向


 1985年デビューの新人アイドルの楽曲を見ていると、作家陣の起用にいくつかの傾向が見て取れる。まず、作詞家・松本隆と作曲家・筒美京平の提供曲が多いことだ。

 松本隆と筒美京平は、80年代を代表するゴールデン・コンビ。筒美は60年代後半からヒットメーカーとして活動してきた大御所である。70年代には幾多の女性アイドルをデビューから継続的に手掛けて来たが、80年代に入るとその勢いはやや収まり、デビューから手がけ連続してヒットを出していたのは’81年デビューの松本伊代ぐらいであった。ただ、“ヒット請負人”としての実績は変わらず、’82年組の早見優も小泉今日子も、筒美に提供を受けた楽曲で初のベストテンヒットとなり人気がブーストしている。’83年にはデビュー4年目の河合奈保子を手がけ、’84年にはデビュー5年目の柏原芳恵にも楽曲提供。男性アイドルでも近藤真彦のほか、ライバル関係にある田原俊彦にも楽曲提供するなど、歌謡曲シーンでの信頼は絶大であった。

 この’85年には一転して、筒美が新人アイドルをデビューから手掛けることが増えた。実に斉藤由貴、中山美穂、本田美奈子の大型新人3人が、デビュー曲から筒美作品を歌っているのである。