2025年7月号|特集 女性アイドル1985

【Part4】吉田格が語る当時のアイドルシーン

会員限定

インタビュー

2025.7.25

インタビュー・文/田中久勝 写真/島田香


【Part3】からの続き)

何年経ってもアニバーサリーのタイミングで音源を発売できるアーティストに関われたことが、この仕事をやってきた醍醐味でもあり、一番の幸せ。


── 今回のインタビューのテーマからはちょっと脱線してしまいますが、格さんは“永遠のアイドル”・郷ひろみさんが’99年にリリースした“A chi, chi, a chi”のフレーズが印象的な「GOLDFINGER ’99」のディレクターでもあり、同曲は郷さんの再ブレイクのきっかけにもなりました。

吉田格 当時リッキー・マーティンが南米で大ブレイクしていて、ソニーミュージックとしては、北米、ヨーロッパ、アジア(極東)とワールドワイドでブレイクさせたいと。それで洋楽のディレクターから彼の「Livin’ La Vida Loca」のMVを観せてもらったら、これがかっこよくて衝撃を受けました。同時に「郷さんでカヴァーできないかな」とピンと来て、すぐ次の日に、金沢でコンサートをやっている郷さんの元に飛んでいきました。それでリハーサルの合間に郷さんにMVを観てもらって「次のシングルは決まっているけど、この曲のカヴァーをやりたいです」と言ったら、郷さんも「めちゃくちゃかっこいいですね。僕は金のまな板を作ってくれたら、その上の金の鯉になりますから」って言ってくれて。その言葉は今でも忘れられません。事務所のスタッフも承諾してくださって、すぐに康珍化さんに歌詞の相談に行きました。それまで郷さんはバラード三部作(「僕がどんなに君を好きか、君は知らない」「言えないよ」「逢いたくてしかたない」)で、かっこいいけどちょっと情けない男の世界を歌っていました。でも僕は、次は大人の不良像を作りたかった。昔でいうと日活時代の石原裕次郎や赤木圭一郎のようなイメージで、それを康さんと話をしながら膨らませていきました。

── そこからどう“A chi, chi, a chi”という言葉が出てきたのでしょうか?




●吉田格 (よしだ・ただし)
1976年にCBS・ソニーに入社。1978年より邦楽ディレクターとなり、川﨑麻世、SHOGUN、原田知世、To Be Continued、知念里奈など50組を超えるアーティストを担当。南野陽子では8作連続を含むシングル9作をヒットチャート1位に送り込む。1999年には「GOLDFINGER'99」で郷ひろみの再ブレイクに成功する。2002年からはソニー・ミュージックダイレクトにて山口百恵トリビュートアルバムや、五輪真弓、大貫妙子、太田裕美、尾崎亜美、辛島美登里、サーカス、ブレッド&バター等々、アラフォー・アイドル“Blooming Girls”(南野陽子、森口博子、西村知美)のプロジェクトも手掛けている。現在 Spring Tune Inc. を立ち上げ、作家マネージメントや音楽制作、イベント制作を始動。