連載|伊波真人のシティポップ短歌

今月のお題「楠瀬誠志郎 / 冒険者たち」

2025.7.16

今月のお題

楠瀬誠志郎/ 冒険者たち1987年


めくるめくポップなメロディを、爽快感のあるハイトーンで歌うシンガー・ソングライター。楠瀬誠志郎のイメージは、やはりメロディメイカーではないだろうか。声楽家兼ボイストレーナーだった父の影響もあって、高校時代よりプロのミュージシャンとして活動を始め、1986年にCBS・ソニーよりメジャーデビュー。ヒット曲「ほっとけないよ」や郷ひろみに提供した「僕がどんなに君を好きか、君は知らない」で知られる。本作は2作目のアルバムで、井上鑑が大半の楽曲のアレンジを担当。杉真理やハイ・ファイ・セットの山本俊彦がコーラスアレンジで参加しており、声の魅力をアピールした作品でもある。

人波が寄せては返すコンコースで 潮騒なんて聞こえないけど人波が寄せては返すコンコースで 潮騒なんて聞こえないけど



伊波真人(いなみ・まさと)

歌人。1984年、群馬県高崎市生まれ。早稲田大学在学中に短歌の創作をはじめる。2013年、「冬の星図」により角川短歌賞受賞。雑誌、新聞を中心に短歌、エッセイ、コラムなどを寄稿。ポップスの作詞家としても活動中。ラジオ、トークイベントへの出演なども行う。音楽への親しみが深く、特にシティポップ、AORの愛好家として知られる。著書に、歌集『ナイトフライト』などがある。