2025年5月号|特集 角松敏生

【Part4】角松敏生スペシャル・ロングインタビュー

会員限定

インタビュー

2025.5.22

インタビュー・文/柴崎祐二


【Part3】からの続き)

聴いてくれた人がふと顔を上げたくなるような、そういう音楽を今後もやっていければ幸いです


―― 今回のシリーズの各作には、先程名前の挙がった森俊之さんをはじめ、他にも、山内薫さん(ベース)や、本田雅人さん(サックス)、エリック宮城さん(トランペット、フリューゲルホルン)等、ベテランの方々が参加していますね。

角松敏生 はい。みんな文字通り「ベテラン」っていう年齢になってきちゃいましたねえ。エリックくんとか失礼を承知で言えば、数原(晋)さんがバリバリやっていた時代にはまだ駆け出しでしたからね。今や大先生ですけど(笑)。皆、努力して時代を超えて今の地位を獲得しておられる。そういう変遷を僕自身が時代の証人として体感し、またそれを体現できていることはある意味、有り難いことであり財産でもあります。

―― その一方で、ドラムの山本真央樹さんや伊吹文裕さんのような若いミュージシャンも参加しています。そうやって異なる世代同士でセッションを行うことで自分たちが経験してきたことを次世代に継承していきたい、というような気持ちもあるんでしょうか?

角松敏生 どうだろう……そういう気持ちもなくはないですが、それより、まずは普通に、自分が彼らのプレイをいいと思うかどうかが大きな基準としてある気がします。真央樹くんに関しては、今のレギュラー・ツアー・メンバーでもあるので、録音物とライヴの一貫性っていう視点からも彼の参加は望ましいですしね。伊吹くんに関しては、昔ライヴでちょっとしたセッションを一緒にやったことがあって、その頃からいいドラマーだなと思っていたんです。その後、あるライヴのリハで病欠の真央樹くんの代わりにトラをやってもらったときに、すごく気持ちいい演奏だったんですよ。そういう経緯もあって、今回のシリーズのレコーディングに呼びました。

―― 彼らの演奏をあえて上の世代のドラマーと比較してみると、どんなところに特色があると思いますか?




●角松敏生 (かどまつ・としき)
1981年6月、シングル・アルバム同時リリースでデビュー。1993年までコンスタントに新作をリリースし、いずれの作品もチャートの上位を占める。年間で最高100本近いコンサート・ツアーも敢行。また、他アーティストのプロデュースを手掛け、1983年の杏里「悲しみがとまらない」、1988年の中山美穂 「You're My Only Shinin' Star」はシングルチャートの1位を記録、今だスタンダードとして歌い継がれている。1993年にアーティスト活動をいったん「凍結」するが、この期間にはVOCALANDなど多数のプロデュースを手掛ける。1997年にNHK「みんなのうた」として発表した「ILE AIYE(イレアイエ)~WAになっておどろう / AGHARTA(角松が結成した謎の覆面バンド)」は社会現象ともいえる反響を集め大ヒット。1998年に「解凍宣言」を行い、アーティスト活動を再開。凍結前と変わらず精力的にリリースやツアー、脚本・演出・音楽を手掛けたプロジェクト「MILAD」など新たな挑戦を続けている。最新作は、2024年から始まった「Contemporary Urban Music」シリーズの第三弾『Forgotten Shores』。5月2日からは全国ツアー「TOSHIKI KADOMATSU Performance 2025“C.U.M”vol.3 ~Forgotten Shores~」を実施中。

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