2025年5月号|特集 角松敏生

Part2|Contemporary Urban Musicを巡るストーリー

会員限定

解説

2025.5.12

文/馬飼野元宏


【Part1】からの続き)

Part2:バック・トゥ・ザ・’80s志向の一つの到達点となった「REBIRTH」シリーズ


 2003年にリリースされた『Summer 4 Rhythm』は、角松敏生が当時、雑誌などのインタビューで「オリジナルアルバムというよりも、80年代のパロディ、オマージュ」と答えていた通り、デビューから3作目あたりまでの角松サウンドの現代的再現、といった趣だった。このアルバムの初回盤には小林克也のDJスペシャルディスク『SUMMER TIME ROMANCE II?〜SUMMER NIGHT ROMANCE〜DJ.Katsuya Kobayashi』が付いていたが、これは何かといえば、’84年に出た『SUMMER TIME ROMANCE〜FROM KIKI』というコンピレーション・アルバムが元になっている。

 『〜FROM KIKI』の方は、ラジオステーションKIKIを再現する形で、角松の曲をカマサミ・コングのDJで繋いでいくノンストップ・ミックス盤で、ファースト・アルバムから4作目『AFTER 5 CLASH』までのアルバムからのセレクトに12インチでリリースされた「DO YOU WANNA DANCE」を加えた13曲が収録されていた。角松本人の意思を通さずレコード会社が独自に企画した作品だったそうだが、それから約20年後に、『SUMMER TIME ROMANCE II?』で、’84年盤のパロディをやってのけたところが、角松らしい決着のつけ方に思えてならない。こちらは楽曲も『Summer 4 Rhythm』から選ばれている。

 『Summer 4 Rhythm』は「海・夏」をテーマにしていたが、その第2弾として今度は「都会・夜」をテーマにしたコンセプト・アルバム『Citylights Dandy』を’10年8月4日にリリースしている。『Summer 4 Rhythm』では沼澤尚(Dr)、青木智仁(B)、浅野祥之(G)、小林信吾(Key)の4リズムが中心だったが、『Citylights Dandy』は玉田豊夢(Dr)、松原秀樹(B)、今剛(G)、森俊之(Key)の4名。続編というよりは、2枚のアルバムは表裏一体の印象を受ける。4リズムのメンバーが入れ替わっているにも関わらず、サウンド面では前作との連続性が見えてくるあたり、角松のサウンド構築に対する強靭な意志を感じさせる。