2025年4月号|特集 シュガー・ベイブ

⑩過ぎ去りし日々“60’s Dream”|『SONGS 50th Anniversary Edition』全曲解説

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解説

2025.4.14

文/油納将志


「過ぎ去りし日々“60’s Dream”」 
words by 伊藤銀次
music by 山下達郎


音楽的アプローチを象徴する過去の音楽への敬意と新しい表現の融合


 この曲でのアコースティック・ギターを主体としたアレンジは、当時のアメリカン・ポップスの雰囲気を巧みに再現しつつも、日本語の歌詞と相まって独自の世界観を構築している。特筆すべきは伊藤銀次の作詞だろう。ラヴィン・スプーンフル「魔法を信じるかい」、グラス・ルーツ「今日を生きよう」、エヴァリー・ブラザーズ「夢を見るだけ」など、60年代の洋楽邦題を引用しながら、失恋の痛みと青春の儚さを描き出す手法がおもしろい。