2025年4月号|特集 シュガー・ベイブ

④風の世界|『SONGS 50th Anniversary Edition』全曲解説

会員限定

解説

2025.4.4

文/油納将志


「風の世界」 
words & music by 大貫妙子


繊細な歌詞と洗練されたアレンジメントが創り出す儚さと浮遊感のサウンドスケープ


 大貫妙子が3曲目の「蜃気楼の街」に続いてヴォーカルを務めており、アルバム全体でも特に感傷的なトーンが印象的だ。特に、飛ばされ 吹き飛ばされ からっぽの街の中、という表現は、風に翻弄されるような人間の弱さや孤独を象徴しつつも、その中に潜む希望や再生の可能性を感じさせ、大貫自身による繊細な歌詞と洗練されたアレンジメントによって巧みに表現されている。