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2025年4月号｜特集　シュガー・ベイブ

③蜃気楼の街｜『SONGS 50th Anniversary Edition』全曲解説

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解説

2025.4.3

文／油納将志


「蜃気楼の街」　
words & music by 大貫妙子


蜃気楼が映し出す都会の孤独と自由への憧れ


　大貫妙子によるこの3曲目は、都会生活に潜む孤独感と自由への憧れをテーマに据え、“蜃気楼”という言葉が象徴する儚さと幻想性を軸に展開される。“窓明り”や“足跡”といった具体的なイメージを用いながらも、それらを通じて描かれる心象風景は曖昧で抽象的だ。この曖昧さこそが、聴き手それぞれに異なる解釈を許容し、普遍性を持たせているように思う。若者特有の“心だけは自由でありたい”という切実な願望が込められており、それは当時の高度経済成長期後半という時代背景とも響き合うようだ。