2025年3月号|特集 奥田民生 29-30
『30』:Part3|名盤『29』『30』を徹底分析
解説
2025.3.25
文/小川真一

『30』:Part3
「つくば山」
冒頭の動物の鳴き声は牛だろうか。アルバム『29』に入っていた「BEEF」に続いて、牛が登場してくる。牛だけじゃなくて、鳥は飛ぶし、魚ははねるし、犬は寝ている。何とも長閑な田園風景が描写されているのだが、のんびりに見せかけて、実はこの曲はニューオーリンズのビートで構成されている。ルーズなベース・ライン、ハネるようなスネアのリズム、これはまさにセカンド・ラインなのだ。セカンド・ラインというのは、ルイジアナ州ニューオーリンズ特有のビートで、葬儀の帰り道に陽気なブラス・バンドの音色に乗せて練り歩くところから生まれた。このセカンド・ラインを“凝ったことをやります”といった風情ではなく、日本の田舎の風景の中に練り込んでしまうのが奥田民生の流儀。このあたりが民生のかっこ良さであるのだ。

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