2025年3月号|特集 奥田民生 29-30

Part4|『29』『30』に参加した海外ミュージシャンたち

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解説

2025.3.24

文/内本順一


奥田民生『29』『30』に参加した海外ミュージシャンたち:Part4


【Part3】からの続き)

 前回に続き、『30』収録曲のうち4曲を共作/プロデュースしたアンディ・スターマーのメール・インタビューをお届けしよう。

――アルバム『30』で、あなたは「コーヒー」「Hey! Mountain」「悩んで学んで」「厳しいので有る」の4曲を奥田民生氏と共作しています。どんなふうに進めていったか覚えていますか?

アンディ・スターマー 「コーヒー」と「悩んで学んで」はタミオが曲のアイデアを送ってくれて、そこから作業を始めた。「Hey! Mountain」と「厳しいので有る」は、僕がラフなデモを作ってタミオに送った。言葉の壁があったので、僕たちは言葉じゃなく音楽でコミュニケーションをとったんだ。言葉はときにクリエイティブの邪魔になることがある。不純物の混ざらないピュアなやりとりが大事で、そのときそれがとても新鮮に感じられたのを覚えているよ。実際のところ、僕らに言葉は必要なかった。互いの顔を見れば、何を求めているか、すぐにわかったからね。

――スタジオに一緒に入り、膝を突き合わせて曲を作っていったのですか?

アンディ・スターマー まずメールでデモのやり取りをした(編注:世界初の無料Eメール・サービスが始まったのが’96年、普及したのはもっと後なので、おそらく郵便のことを指しているかと思われる)。実際に会って話をしたのは僕が東京に行ったときだったね。スケジュールについてや、追加でどんな楽器とアンプを借りるかについて話をした。それ以外は特に綿密な打ち合わせをしなかったと記憶している。

――曲作りはスムーズでしたか?