2025年3月号|特集 奥田民生 29-30

⑫THE HIGH-LOWS『THE HIGH-LOWS』|『29』『30』時期の邦楽ロック in 1995

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レビュー

2025.3.18



THE HIGH-LOWS
『THE HIGH-LOWS』

1995年10月25日発売

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01. グッドバイ
02. ママミルク
03. ミサイルマン
04. BGM
05. ジュー・ジュー
06. ツイスト
07. スーパーソニックジェットボーイ
08. なまけ大臣
09. ヤ・バンバ
10. ビッグ・マシン
11. バナナボートに銀の月
12. 日曜日よりの使者



ロックで踊ろう、そして生きよ!



 6曲目「ツイスト」の歌詞にもあるように、“ロックで踊ることの醍醐味”をここまで骨太にテーゼとして聴かせるアルバムもない。というか、THE HIGH-LOWS……いやいや、現在のザ・クロマニヨンズを含めてヒロト&マーシーのこれまでのキャリアの全ては、この命題において貫かれている。そもそも、ロックは踊るための音楽なんだ、という絶対的な主張を当たり前のように掲げ、“やりたくない事はやりたくないんだ”(「「なまけ大臣」)とし、“やりたい事ばかり/自由はあふれてる”(「ジュー・ジュー」)と叫ぶ。ロックで踊ろう、ロックで踊りたい、ロックで踊れ……これ以上に強烈なメッセージはない。だから生きるんだ。死のうとするな。デビュー・シングルでもある3曲目「ミサイルマン」や4曲目「BGM」には石にかじりついても生きること、生き方を選ぶことが鋭く刻まれているが、その着地点が、ロックで踊り続ければおのずと生きたくなるし、生きていくだろう、としているように感じられるのがたまらなく感動的だ。ロックで踊ると生きたくなるし感動するのである。

文/岡村詩野