2025年3月号|特集 奥田民生 29-30

『30』:Part1|名盤『29』『30』を徹底分析

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解説

2025.3.18

文/小川真一


『30』:Part1


「人間2」

 奥田民生のセカンド・アルバム『30』は、’95年の12月1日に発売された。前作の『29』が3月8日リリースだったから、1年の間に2枚のソロ・アルバムを仕上げたことになる。だらだらしながらも創作意欲は燃やし続ける。これが奥田民生流儀なのだ。『29』は海外録音だったのだが、今回は新宿のスタジオ・グリーンバード、日テレ・ビルのサウンド・イン・スタジオ、それにソニーミュージックの信濃町スタジオなどを使いレコーディングされた。「人間2」は、ヴァイタルにあふれた豪快なロックン・ロール。『29』収録の「人間」の続編のようなタイトルだが、まるで無関係。ギターの長田進、ベースの根岸孝旨、ドラムスの古田たかしと、当時Dr.StrangeLoveを組んでいた三人が全面参加している。凄腕のグループなだけに、手堅い音壁を作り出しているが、そのサウンド・デザインがこの当時の民生にはとても似合っている。この彼らと組んだ「tamio okuda TOUR “29-30”」でも気の合った演奏を聞かせていた。