連載|伊波真人のシティポップ短歌

今月のお題「朝比奈マリア / MARIA」

2025.2.17

今月のお題

朝比奈マリア / MARIA1979年


雪村いづみの娘として知られ、モデル、女優、画家など多彩な活躍で知られる朝比奈マリア。シンガーとしても1枚アルバムを残しており、これが昨今のシティポップ・ムーヴメントで注目されている。ハーヴィー・メイスンがファンキーなアレンジを施した「ディスコ・ギャル」、細野晴臣が作曲しYMOがアレンジを手掛けたディスコ歌謡「おんな ともだち」、再評価が高まる滝沢洋一と佐藤博のコンビによるメロウな小品「訣別」、松任谷正隆が編曲に関わった爽やかポップス「ペパーミントの風」などバラエティに富んだ曲調を軽々と歌いこなすのはさすが。シティポップ・ファンなら流線形がオマージュした「心のままに」が必聴だ。

愛してた記憶もいつか褪せるのか ペパーミントのガムを噛みつつ愛してた記憶もいつか褪せるのか ペパーミントのガムを噛みつつ



伊波真人(いなみ・まさと)

歌人。1984年、群馬県高崎市生まれ。早稲田大学在学中に短歌の創作をはじめる。2013年、「冬の星図」により角川短歌賞受賞。雑誌、新聞を中心に短歌、エッセイ、コラムなどを寄稿。ポップスの作詞家としても活動中。ラジオ、トークイベントへの出演なども行う。音楽への親しみが深く、特にシティポップ、AORの愛好家として知られる。著書に、歌集『ナイトフライト』などがある。