2025年1月号|特集 YENレーベル
【Part4】太田螢一が語るゲルニカとYEN
インタビュー
2025.1.28
インタビュー・文/村尾泰郎 写真/山本佳代子

(【Part3】からの続き)
『改造への躍動』には当時の想いが時代の空気と共に結晶化している
── 太田さんが当時考えていたゲルニカのセカンド・アルバムは、どんなものだったのでしょう。
太田螢一 労働者をテーマにした作品を作ってみたいと思っていました。’80年くらいから「求人タイムス」という求人雑誌に絵と短文の「太田劇場」を連載していたんです。そこで編集者の女性と「求人雑誌だから働く人たちをテーマにすると面白いんじゃないか」って話をしていたんですけど、あらま、そのコが結婚して会社を辞めちゃったんです。それで僕はすっかりやる気をなくして連載をやめてしまい(笑)。そのアイデアをアルバムにすると面白いんじゃないかと思ったんです。ロシア構成主義とか立体派が描く工場のイメージを織り交ぜながら労働者の歌を書く。捕鯨船団の歌なんかを考えていましたね。怪獣みたいなクジラの威容と浮かぶ工場のような捕鯨船。そこで働く船員たちの哀感、加工される蛋白源……みたいなものを曲にしたら良いんじゃないかと思って。
── すごいスケールですね! そういえばムーンライダーズ『マニア・マニエラ』(’82年)も労働者がモチーフになったアルバムですが、そこに太田さんは「温和な労働者と便利な発電所」の歌詞を提供されました。
太田螢一 結局、(鈴木)慶一さんに大幅に書き変えられて残ったのは「発電所」という言葉だけでしたね(笑)。

●太田螢一 (おおた・けいいち)
1957年千葉市産まれ。幼少期よりお絵描きに親しみ様々なカルチャーを吸収。奇妙なレトロ・リアリズムを模索しつつ現在に至る。「パノラマ・アワー」「衛生博覧会」主催。ゲルニカの活動以外にソロアルバム「人外大魔境」、ヒカシュー「うわさの人類」をはじめLPジャケット、映画「ドグラマグラ」ポスター、新聞・雑誌挿絵連載等々。画集「AMNESIA」、絵本「働く僕ら」、フランスより「LE GARGARISME」「THE BLOB」、ポスター等発表。都内に現存。
https://www.oota-keiticle.com/

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【Part3】太田螢一が語るゲルニカとYEN
インタビュー
2025.1.21