2025年1月号|特集 YENレーベル

①サンディー&ザ・サンセッツ『IMMIGRANTS』|YEN名盤19選

レビュー

2025.1.6


サンディー&ザ・サンセッツ
『IMMIGRANTS』

1982年9月21日発売

再生はこちら ▶

01.DREAMS OF IMMIGRANTS
02.開けゴマ
03.LIVING ON THE FRONT LINE
04.THE MIRRORS OF EYES
05.YOU GET WHAT YOU NEED
06.JINJIROGEH~THE CHUNK O'FUNK
07.PERFECT STRANGER
08.ILLUSION
09.WANTED
10.もえるいのち


2025年、本作を再評価するならば絶妙なタイミングだと言えるだろう


 日本ではサンセッツ名義でリリースされたデビュー作に続く2作目。デヴィッド・シルヴィアンがヴォーカルだけでなく、数曲で作詞も担当しており、またザ・スペシャルズやファン・ボーイ・スリーの諸作を手がけていたデイヴ・ジョーダンが久保田麻琴と共に共同プロデューサーとして名を連ねている。

 デビュー作『ヒート・スケール』と本作の制作の間、彼らはニュー・ウェイヴ全盛の英国で多くの時間を過ごしているが、その影響が色濃く反映されつつも、沖縄音楽、東南アジアの民族音楽、エキゾチカ、ニューオーリンズ・サウンドなど、シンセサイザーを中心としたサウンド・プロダクションを基調としながら多様な要素がみごとに調和している。英国とオーストラリアでシングルカットされた1曲目の「Dreams Of Immigrants」はニュー・オーダーを従えて、ケイト・ブッシュが歌っているような趣で、42年後の現在において新鮮な響きを宿し続けるなど、本作を再評価するならば絶妙なタイミングだと言えるだろう。

 なお、本作を発表後、サンディー&ザ・サンセッツは海外でのレーベル・メイトだったトーキング・ヘッズの『ストップ・メイキング・センス』ツアーのオープニング・アクトに起用され、オーストラリアとニュージーランドでステージを共にした。

文/油納将志