2024年12月号|特集 TM NETWORK|The Force
[BD]disc 04 - side “intelligence Days”|『The Force -40th Anniversary Edition-』徹底検証
解説
2024.12.23
文/柳 雄大
TM NETWORK
『The Force -40th Anniversary Edition-』
disc 04 - side “intelligence Days”
from
TM NETWORK TOUR 2022 “FANKS intelligence Days”
TM NETWORK 40th FANKS intelligence Days ~DEVOTION~
TM NETWORK 40th FANKS intelligence Days ~STAND 3 FINAL~
TM NETWORK 40th FANKS intelligence Days ~YONMARU~
40周年プロジェクトの全体像にも想像、考察を膨らませながら楽しめる“intelligence Days”
世界がコロナ禍にあった2021年、現在の活動に繋がる再始動を果たすTM NETWORK。そこから迎えるデビュー40周年は、大成功を収めた30周年時のスタイルを踏襲する形で、約3年をかけた長期プロジェクトとなった。
2022年から2024年にかけ、“FANKS intelligence Days”というタイトルを冠して行われた4つのライヴツアー。その公演数は40本に及んだ。Blu-ray BOX『The Force -40th Anniversary Edition-』のdisc 04 - side “intelligence Days”は、これら最新ツアー内容からのベストセレクションとなっている。全40トラックの収録時間は226分にのぼり、4枚組のBOXセット中でも最長である。
disc 04はこれまでの3枚の構成と異なり、すぐにライヴ本編から始まる。つまり、前置きなしで端から端まで本編の楽曲がぎっしり詰まった内容だ。その始まりは、TM再起動後のツアー第1弾<TM NETWORK TOUR 2022 “FANKS intelligence Days”>ぴあアリーナMM公演。2022年夏に行われたこのツアーはTMが7年ぶりに行った有観客ライヴであり、40年の歴史上でもっとも長い空白期間明けのライヴでもあった。そのことを踏まえて映像を観ると、メンバーとオーディエンスが“再会の喜び”を分かち合うムードが尊く感じられる。特に「BE TOGETHER」では、イントロに宇都宮隆による「Welcome to the FANKS!」というかけ声が入るアレンジが採用されていたのが嬉しかった。
同公演から収録されたTM歴代のヒットナンバーに並んで、注目したいのが「How Crash?」だ。2021年の無観客ライヴ配信で初披露された新曲であり、小室哲哉の作詞曲による、TMの再起動を象徴した一曲。内省的な歌詞をマイナーコードで追う展開から、明るい場所へと一気に解き放たれるようなサビに向かう構成がとにかく気持ちいい。以後のセットリスト上で定番化していないということもあり、ここでは特に必見のナンバーとして挙げておきたい。
そして、当ツアーのラストに披露されたのが「Fool On The Planet」。<TM NETWORK 30th FINAL>の感動的なフィナーレを飾った至高の名曲だ。あれから7年……この「Fool On The Planet」が再び生で聴けたことへの喜びを、disc 03 - side “QUIT30”からの流れで改めて追体験することができる。
続いての映像は、1年後の2023年秋に行われたツアー<TM NETWORK 40th FANKS intelligence Days ~DEVOTION~>から、まずは「Whatever Comes」。木根尚登がかき鳴らすエレキギターに始まり、終始ポジティブなオーラに満ちた2023年の最新ナンバーだ。この曲はデビュー当初よりTMに関わる小室みつ子が作詞を手がけているが、1987年リリースの「Fool On The Planet」から36年の時を超え、“エアプレーン”というワードが共通して登場する。小室みつ子自身は2曲の間で意識的に同じフレーズを用いたと、スペシャルサイト「TM NETWORK 40+」のインタビューで語っていた。当ディスクがそのことまで意図した曲順となっているのかはわからないが、ぜひ2曲続けて歌詞に耳を傾けて楽しんでほしい。(参照:小室みつ子インタビュー)
<DEVOTION>は『劇場版シティーハンター 天使の涙(エンジェルダスト)』の公開時期に合わせたツアーということで、『シティーハンター』シリーズゆかりの曲を次々にプレイした。「Still Love Her」もそのうちの1つだが、このツアーではメンバー3人のみによる演奏となっているところに着目したい。ドラムとベースを省き音数の少ないアレンジにしたことで、3人が声を重ねるコーラスの良さも非常によく出ている。間奏では木根がハーモニカを、ウツがアコースティックギターを担当しており、3人の連携プレイが光る「最小構成のTM」としての魅力を強く感じられるはずだ。
さらに、その流れから続く「TIMEMACHINE」も要注目と言わざるを得ない。TM最初期からのナンバーであり原点の1つだが、ニューアルバム『DEVOTION』で初のスタジオ録音版を収録・リリースしたことに伴う選曲だ。ステージ上に渦巻くスモーク、3人から光が立ち上るような演出も含め、その神々しい雰囲気は当公演のハイライトとなっている。