2024年12月号|特集 TM NETWORK|The Force

【Part2】小室哲哉スペシャル・インタビュー|再び見つめ直したTMの個性、進化する「CAROL」、40年を経てよみがえるファースト・ライヴ

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インタビュー

2024.12.24

インタビュー・文/柳 雄大


【Part1】からの続き)

集大成、というよりは「40年間の巨大なプレビュー」みたいな感じかな (小室哲哉)


── ここからは、2022年以降のTM NETWORK 40周年プロジェクト“intelligence Days”についてお伺いしていきます。すべてを出しつくすような30周年“QUIT30”の後、次なる節目の40周年にはどんな思いで向き合われましたか。

小室哲哉 僕はこの10年の間にしばらく休ませてもらっていた期間もあり、改めてもう1度ホームに戻る感覚でした。だから初めの10年目(1994年)以外の節目は、20周年、30周年と、毎回自分の原点を考えさせられているってことですよね。10年ひと昔と言いますけど、確かに巡っていると思います。

── 30周年のTMの活動は「原点回帰」的な側面も大きかったとのことでしたが、40周年プロジェクトとしてはどういうことをやっていこうと思いましたか。

小室哲哉 2014年から2024年の間で、世の中の「未来」感がすごくスピードアップしてるんですよ。ネットも、デバイスも、あらゆるツールも急激に一足飛びで未来に追いついたというか、追い越しているというか。もう近未来が来ちゃったという感じで、ドローンは飛ぶし、ライトは全部LEDだし、レーザーよりもっとすごいライティングができるようになったし。しかも、ソーシャルメディアのおかげで「今、海外ではこんなことになっているんだよ」と人に話す前にみんながそれを知っている。それはアスリートの世界でも、音楽の世界でもそうで、みんながいつでも最高水準のものを知っているようになったんですよ。

── 確かにそうですね。

小室哲哉 なので、TMの40周年はやっぱり個性を出さなきゃいけない、というところに行き着いたのが大きいと思いますね。それまでは、先陣を切って色んな新しいことをするのが自分たちの個性だったりしたんですけども、今はそれだけじゃ個性にならないというか。もうちょっと、何をやればTMらしさが出るのかっていうのを考える必要があるなと。なので、さらなる原点回帰ですかね。そもそも3人のメンバーで、元々どうやって音楽をやっていたんだっけ? っていう。40周年のツアーの中で、初めて3人だけでステージをやったのも、これ以上の原点はないよね、という考えからです。もちろんステージの周りにスタッフは山ほどいますけど、楽器、楽器、歌の3つの音だけでも成立できるというところまで行ってみたかった。そうすると必然的に3人の個性がすごく際立つし、オリジナリティも出るし。言わば、「素数」みたいなことですかね。

── 最小単位まで戻ったということですね。<TM NETWORK 40th FANKS intelligence Days ~STAND 3 FINAL~>というツアータイトルにも、それは表れていたと思います。直近に行われた最新のライヴは2024年4月~5月の<TM NETWORK 40th FANKS intelligence Days ~YONMARU~>になりますが、ここが40周年のひとまず集大成、という言い方になるのでしょうか。

小室哲哉 集大成、というよりは「40年間の巨大なプレビュー」みたいな感じかな。もう1回、40年分の活動を確認してみようというか……『CAROL』のときはどうだったっけ、とか、「Get Wild」にはどういう伏線があったんだっけ、とか。そういう「プレビュー」という言い方が近いと思います。

── なるほど。この<YONMARU>は演出的にも、テクノロジー的にも最新鋭のものが詰まったステージでしたが、小室さんが「2024年ならでは」という手応えを感じた部分はありましたか。