2024年11月号|特集 吾妻光良&ザ・スウィンギン・バッパーズ
【Part4】|ルーツ・オブ・バッパーズ
解説
2024.11.20
文/妹尾みえ
(【Part3】からの続き)
いつの時代も変わらぬ人々の姿を正直かつユーモラスに歌うジャイヴやカリプソ
今でこそギターはバンドの華だが、アコースティック・ギターの時代は脇役だった。原因は音量だ。ピアノにだって勝てるかどうか。ビッグ・バンドで演奏するなんてとんでもなかったのである。この高いハードルを乗り越えたのがエレクトリック・ギターの導入だった。
ブルース・シーンに革命を起こしたのは、テキサス~ウエストコーストを拠点としたTボーン・ウォーカーである。1930年代に使われ始めたエレキ・ギターとシングル・ノートを掛け合わせ、縦横無尽にソロを弾くことによってギターを主役の座に押し出した。’42年に発表された「Got A Break Baby/Mean Old World」を聴いた人はみんな仰天したという。1930年代の終わりには歌だけの時もあったTボーンが40年代後半には10人編成のバンドでツアーへ。’50年には強力なジャンプ・インスト「Strollin’ With Bones」が録音されている。バッパーズ初期の定番でもあったこの曲は、ギター・ソロ、ホーン・アレンジはもちろんギターとホーンとの間合い、スピード感、テーマも最高。エレキ・ギターを中心としたジャンプ・サウンド大躍進だ。
Tボーン・ウォーカー
『The Ultimate Collection 1929-1957』
Tボーンといえばギターを背中に回しての開脚弾きも有名である。大スタンダード「Stormy Monday Blues」はじめジャジーでクールな演奏も多いのになぜ? と疑問だったが、若い時キャブ・キャロウェイのアマチュア・コンテストで優勝し“南部のキャブ・キャロウェイ”と呼ばれたこともあると聞いてちょっと合点がいった。ジャンピン・ジャイヴな精神はブルースにも受け継がれていたのだ。
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【Part3】|ルーツ・オブ・バッパーズ
解説
2024.11.13