2024年11月号|特集 吾妻光良&ザ・スウィンギン・バッパーズ

【Part3】吾妻光良スペシャル・ロングインタビュー

会員限定

インタビュー

2024.11.15

インタビュー・文/内本順一 写真/山本佳代子


【Part2】からの続き)

スタジオで、「おい、そっくりだよ。すげーよ、オレたち!」って興奮した


―― バッパーズのニューアルバム『Sustainable Banquet』の話をしましょう。約5年半ぶりということで。前作が結成40周年、今作が45周年と、またも周年タイミングでのリリースとなります。

吾妻光良 ソニーの担当のMさんが「このタイミングで出しましょう」と言ってくれるのでね。初めは「え~」「まだいいよぉ」なんて言ってノリ気じゃないメンバーもいたんですけど、何回か呑んでいるうちに「じゃあ作るか」ってなって。

―― 吾妻さんは積極的なほうだったんですか?

吾妻光良 いや、絶対に出したいとか、そういうのはないですね。「出しましょう」と言ってもらえるなら作りましょうか、ってところで。「ありがとうございます。話にノラせていただきます。感謝感謝」って感じですかね。

―― この5年半を振り返ると、やはりパンデミックが社会にもたらした影響が大きかったわけですが。

吾妻光良 そうですね。ですからコロナふうの歌詞は多いと思いますよ。

――「Old Fashioned Love」という曲がそうですね。「不要不急」という言葉も出てきますし。

吾妻光良 そうそう。

―― ライヴができなかった時期もあったと思いますが、その時期はどんな心持ちで過ごしていたんですか?

吾妻光良 でも、バッパーズのライヴで完全に潰れたのは確か3本くらいで。そんなにはなかったんですよ。ただまあ、みんなヒリヒリしていたじゃないですか。やれるのかやれないのか、世間的にはやっていいのかどうなのかみたいな話で。やるってバンドもいるし、やめたってバンドもいるし。「どうする?」「でも、おっかねえなあ」なんて言ってね。福岡に呼ばれていたライヴがあって、ベースの牧とふたりで話して「じゃあ今回は見送ろうか」ってことになり、阿佐ヶ谷の駅前から主宰者に断りの電話をいれたのを覚えています。「がっかりされるかなぁ」なんて思いながら覚悟を決めて「申し訳ありません」って電話したら、「いや、しょうがないですよ」と言ってもらえて。あのときのなんとも言えない気持ちはよく覚えていますね。だから明けたときには、こうしてまたライヴをやれるのはありがたいことだなぁと実感しました。


吾妻光良&ザ・スウィンギン・バッパーズ
『Sustainable Banquet』

2024年11月20日



―― 今作のタイトルは『Sustainable Banquet』。’91年リリースの3作目『STOMPIN’&Bouncin’』以降は毎作品、SとBで始まるワードをくっつけたタイトルになっています。よく毎回思いつきますね。

吾妻光良 いやぁ、これがなかなか苦しい作業でね。なかなかないんですよ。今回もギリギリでした。

―― 『Sustainable Banquet』。持続可能な宴会?

吾妻光良 そう。’79年11月の結成時から宴会はずっとやってきているんで。「ずっと呑んでますよ」ってことです(笑)。




●吾妻光良 (あづま・みつよし)
1956年、新宿生まれ。'70年にB.B.キングの来日公演を観て以来ブルースを聴くようになる。高校、大学を通じてバンド活動を行い、永井隆のブルー・ヘヴンや妹尾隆一郎のローラー・コースターにも参加。大学在学中の'79年に卒業記念として吾妻光良&ザ・スウィンギン・バッパーズを結成。翌年3月のJIROKICHI公演~卒業でおしまい、となるはずが、年に1、2回程度の再演、それが3回、4回と増えていくうちに45年の月日が経つ。会社員との二足の草鞋状態で音楽活動していたが、2021年に晴れてプロ入り(定年)。吾妻光良トリオ+1やソロでもライヴを行っている。文筆家として著書『ブルース飲むバカ歌うバカ』がある。
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