2024年10月号|特集 和ジャズ
⑨鈴木勲トリオ/クワルテット『ブロー・アップ』|渡辺康蔵(ジャズメガネ)が選ぶ「和ジャズ」名盤22
レビュー
2024.10.11
文/渡辺康蔵(ジャズメガネ)
鈴木勲トリオ/クワルテット
『ブロー・アップ』
1973年3月29日、30日録音(TBM-15)
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1. アクア・マリーン
2. エブリシング・ハプンズ・トゥー・ミー
3. ブロー・アップ
4. ライク・イット・イズ
5. 云いだしかねて
6. ロー・フライト
オリジナリティーとチェロ奏者としての独創性、そして黒いソウル・フィーリング
1973年、日本のジャズ界は渡辺貞夫や日野皓正のグループが人気を博していた。CBS・ソニーやビクターは日本のジャズの制作に力を入れていて、評価の高いアルバムを発表していたが、インディーズのTBMはアメリカから帰国したばかりのベーシストの鈴木勲に目をつけた。鈴木はアメリカでアート・ブレイキーとザ・ジャズ・メッセンジャーズに在籍し、実力をつけて帰国したが、TBMのプロデューサー藤井は彼のオリジナリティーとチェロ奏者としての独創性、そして何よりも黒いソウル・フィーリングを高く評価していた。ベーシストという縁の下の力持ち的な存在をスターにのし上げようと考えていたのだ。
●渡辺康蔵 (わたなべ・こうぞう)
ジャズ・プロデューサー、ミュージシャン、作家。早稲田大学モダンジャズ研究会、日本コロムビアを経て、ソニーミュージックで日野皓正、ケイコ・リー等のプロデューサーとして活動。’22年よりフリーランス。山本剛トリオや山下久美子をプロデュース。また、吾妻光良&ザ・スウィンギン・バッパーズのサックスを結成当初より担当。著書にミステリー短編集『ジャズ・エチカ〜ジャズメガネの事件簿』(彩流社)がある。
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