2024年10月号|特集 和ジャズ
①峰厚介五重奏団『峰』|渡辺康蔵(ジャズメガネ)が選ぶ「和ジャズ」名盤22
レビュー
2024.10.1
文/渡辺康蔵(ジャズメガネ)
峰厚介五重奏団
『峰』
1970年8月4日、5日録音(TBM-1)
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1. あさ
2. アイソトープ
3. ドリーム・アイズ
4. ワーク・ワン
ビバップより新しい感覚のサックス奏者によるTBM第1回作品
スリー・ブラインド・マイス(TBM)第1回作品の本作は1970年の録音。藤井武、佐賀和光、魚津佳也の3人で立ち上げたレーベルは藤井プロデューサーの元、日本のジャズを記録すべく制作を開始した。当時、プーさんこと菊地雅章のグループでアルト、ソプラノ・サックス奏者(現在はテナー奏者)としてポスト渡辺貞夫の位置にいた峰厚介のリーダー・アルバムがその第一弾だ。ビバップより新しい感覚でサックスを操る峰のプレイと市川秀男が弾くローズ・ピアノはウェザー・リポートのサウンドに通じるものがあるが、こちらの録音はウェザーより前にあたり、サウンド作りでも時代を先取りしていたといえる。
今年、SACDハイブリッドでも発売されたが、市川秀男が弾くローズの音色はハンマーで音を鳴らすという打楽器的な側面とスピーカーから出る音の空気感で特にきらびやかに再現される。どの楽器も瑞々しい。
発売当時、私はこのアルバムはゲットしていなかったが、地元静岡にある大手レコード店「すみや」が積極的に拡売しており、中学生ながら、かなり興味を感じた思い出が残っている。ジャケットもエキセントリックで印象深かった。峰はこの後、すぐに『セカンド・アルバム』を増尾好秋(g)、鈴木良雄(b)と共に制作する。
菊地グループでの大ヒット曲「ダンシング・ミスト」を含む『POO-SAN』、『ダンシング・ミスト〜菊地雅章イン・コンサート』なども和ジャズ必聴アルバム。映画『ヘアピン・サーカス』のサウンドトラックも菊地グループで手がけており、峰自身も映画出演している。
<お薦め関連アルバム>
峰厚介『セカンド・アルバム』(1970年録音・TBM)
菊地雅章『POO-SAN』(1970年録音・Philips)
菊地雅章セクステット『ダンシング・ミスト〜菊地雅章イン・コンサート』(1970年録音・Philips)
菊地雅章六重奏団『ヘアピン・サーカス オリジナル・サウンドトラック』(1972年録音・Philips)
●渡辺康蔵 (わたなべ・こうぞう)
ジャズ・プロデューサー、ミュージシャン、作家。早稲田大学モダンジャズ研究会、日本コロムビアを経て、ソニーミュージックで日野皓正、ケイコ・リー等のプロデューサーとして活動。’22年よりフリーランス。山本剛トリオや山下久美子をプロデュース。また、吾妻光良&ザ・スウィンギン・バッパーズのサックスを結成当初より担当。著書にミステリー短編集『ジャズ・エチカ〜ジャズメガネの事件簿』(彩流社)がある。
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②高柳昌行と新世紀音楽研究所『銀巴里セッション』|渡辺康蔵(ジャズメガネ)が選ぶ「和ジャズ」名盤22
レビュー
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