2024年9月号|特集 90年代シティポップ

⑭平岩英子『Airium』|90年代シティポップ名盤ガイド

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レビュー

2024.9.20


平岩英子
『Airium』

1997年5月21日発売

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1.Airium Entrance
2.カラカラ~Home Sweet Home~
3.卒業
4.はこぶね
5.理由のない贈り物
6.サボテン
7.水のように
8.Airship On The Stadium(Bird's Eye Mix)
9.Snow Field~こわれるほど想っていた~
10.昨日見た夢のように
11.Blue



2000年代のメロウ・ミュージックのオーガニックな空気感を先取り


 ソニーミュージック主宰のオーディションで優秀成績を収めたことをきっかけにデビューしたシンガーソングライター、平岩英子による二枚目のアルバム。1997年というと、かつてのニュー・ミュージックのパラダイムを純粋に継承するシティポップ作品はほぼ消え去っており、代わりに、渋谷系以降のクラブ寄りのサウンドがメロウ・ミュージックの覇権を握っていた時期。そんな中でリリースされた本作は、前者のエッセンスを主に歌唱と作曲の面で、後者のエッセンスをアレンジの面でかけあわせた、実に稀有な作品といえるだろう。アレンジを担当する面々=朝本浩文、高野寛、溝口肇の名をみても、その絶妙なバランス感を感じ取ってもらえるのではないかと思う。

文/柴崎祐二